幕間4 記憶が戻った瞬間(魔王 ミカエラの場合)

幕間4


屋上で記憶が戻り、私は仮病を使って保健室で休んでいた。


まぁ、俺の魔法を使えば仮病なんざ簡単なんだけどな!


「便利ね、魔法………」


そりゃそうさ、俺に使えない魔法は無いからな!


全てにおいてトップクラスだし、死ぬまで教師を続けたりしたんだぜ?


「魔王なのに?」


あ、ああ………勇者が死んだ後に色々あってな。


気が付けば何か人族と魔族が和解してたし、色んな種族が通える学校とか出来てたし、次女の為に其処で働く事になって………


「えっ、次女?子供は一人じゃ………」


うっ、実はこっそり搾った種を保存してて、アイツが死ぬのに耐えられなくて、少しでも繋がりが欲しくて、うぅぅ………


「つ、ツンデレ………」


だ、誰がツンデレだ!!


「全く、素直になりなさいよ、一応は綾子ミカエラ貴方なのよ?」


う、うん………


「で、これからはどうするの?」


居たい………


「はい?」


一緒に居たい!一緒に死にたい!!ずっと、ずっと一緒に生きていきたい!!!


もう、一人は嫌なんだ!!!


「素直になると凄いわね………」


何だよ、素直になれって言ったのはお前だろうが!!


「ごめんごめん。」


本気で謝ってるのか、おい………


「だが、少し疑問があるんだよ。」


あら、何かしら?


「このままだと、お前の身体で私は奴と交わって、種付けて貰うぞ。そして、子宮に子供を孕ませるつもりだ。一応聞くが、大丈夫なのか?」


────どうしよう。


「お前、気が付いてなかったな?」


────うん。


「お前が嫌って言うなら、諦める。どれだけ考え方が違っても俺はお前で、お前は俺だ。なら、折り合いを付けていくのは当然だろう?」


────ありがとう。


「礼など要らん。」


少し、待っててくれる?


「勿論だ。」


もう少し、見極めたいの。


綾子の親友が好きになった彼を、綾子にとって、どんな存在として受け入れられるのかを。


見極めた上で、結論を出したいわ。


「どんな結論だろうと、俺は尊重するさ。」


記憶も心も2つ有ったとしても、身体は1つなのだ。


だからこそ、お互いがお互いの為に生きていこう。


続く

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