第24話 再会

第24話


「お前、理解わかるのか!?」


いや、そんなのあり得る筈がない!!


前世の記憶があると、お前の父親だった記憶があるなど理解わかる筈もないんだ!!


それなのに、何でお前は………


理解わかるよ、だって家族だもん!お父さんの娘、佐藤 白湯しらゆだもん!!」


年に似合わない口調で白湯がそう叫ぶ。


ヤバい、泣きそう………


────ここあが物凄い顔で睨んでなければの話だが。


「会いたかった、会いたかったよぉ………」

「あ、ああ、俺もだ………」


う、嬉しい!


滅茶苦茶泣きそうだ。


でも、ここあの顔がどんどん怖くなってきてるから、そっちの意味で泣きそうだよ!!


「ねぇ、お婆ちゃん。感激の所悪いんだけどさ、此方の方も見て欲しいんだけど。」

「うぅ、お父さん………」

「駄目だ、こりゃ。おい、魔王。俺は一回だけ助け舟を出した。後はお前がやれ………」


お前、他人事だと思いやがって………


「身体の血は繋がってるが、他人事に等しいだろ?ていうか、早く何とかしろ。後、単純に早柚が怖い。」


理解わかる、怖いよね………


「お、おい、白湯!!」

「何かな、お父さん♪」

「後ろを見てくれ………」

「えっ………早柚ちゃんと、綾子ちゃんが居るだけじゃない。あっ、この子達はお父さんのひ孫でね、私の可愛い娘達の子供で、良い孫達なの♪」


うん、知ってる。


ていうか、言葉にすると凄い複雑なのアレだよな………


────あっ、もっと怖い顔になった。


やっと、理解わかったよ………


だから、ここあは怒ってるのか………


「その早柚なんだがな………」

「早柚ちゃんがどうしたの、お父さん?」

「えっと、お前の母親………ここあの記憶があるんだ。まぁ、生まれ変わり………転生みたいな物だ。」

「───────────────えっ?」


ああ、気が付いてなかったのね………


☆☆☆


「なぁ、勇者………」

「何だ、魔王?」

「可愛い孫に転生した母親に叱られる祖母の図って、凄いシュールだな。」

「奇遇だな、俺も現在進行系でそう思ってるわ。」


いやぁ、凄い光景だよ、アレ。


本人的には自分も気が付いて欲しかったんだろうけど、ガン無視よ。


しかも、俺には一発で気が付いた上に、自分の事は全く見抜かなかったてのがトドメ刺したんだろうなぁ………


俺も途中で仲裁に入ろうとしてたけど………


お父さん東くんは黙ってて!!!」


って、何の役にも立てなかった。


しかし、懐かしいやり取りだ。


白湯の奴が子供の時に叱られてた時も、似た様な事が何回もあったな。


ここあが怒って、俺が仲裁しようとして逆にボコられ、最終的に白湯がガチ泣きする。


何なら大人になっても、数回は………


「凄いファザコンだったんだな、お婆ちゃんって………」

「ああ、凄かったぞ。後でこっそり教えて貰ったけど、結婚の決め手が俺に似てるからだからな………」

「マジか………そういや、俺達の長女もお前に似てる男が居なかったから、生涯独身宣言してたからな。そういう宿命なのかもしれんぞ?」

「無いだろ………無いよな?」


少なくとも、アリスとの子供はファザコンではなかった様な………


(※アリスがそうならない様に調き………教育してました。)


「ふぅ、言いたい事は全部言ったわ。ちゃんと理解わかったわね、白湯?」

「う、うん………お父さん、お母さんが私を苛めてくるっ!!!」

「お、おう、頑張ってたな………」

「へぇ、東くんは白湯の味方をするんだ?」

「ひっ、お、俺はどっちもの味方だから、ごめんね?」

「「駄目!!」」


で、ですよね………


「チャンチャン♪ってか?しかし、俺は何を見せられてるんだろうね?────少し、羨ましいな(ボソッ)。」


続く

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