第25話 美人局は突然に

第25話


このまま居ると喧嘩が続きそうなので………


「じゃあ、魔王。俺、家で義妹と猫が待ってるから………」


魔王に後は任せて帰る事にした。


「呪ってやるぞ、勇者ァぁぁ!!!」


とか聞こえたけど、無視だ無視。


まぁ、まだ時間はあるんだ。


今度、ゆっくり白湯と話せば良いか………


「どうせなら、今のカフェ達の姿も見てみたいな………」


孫達も立派な大人になり、親になったのだ。


きっと、綺麗になっているだろう。


せめて、前世では結婚式くらいは見てみたかったな………


────いや、やっぱり嫌だな。


白湯の結婚式の時も、血涙が出そうになるのを必死に我慢してたし………


「お、お兄さん!!」

「ん?」


誰かに呼ばれた気がして、後ろを振り向く。


すると、其処には………


「何か用か、お嬢ちゃん?」


中学生くらいの背や幼さを感じる女の子が立っていた。


まぁ、一部は凄いの一言だが………


「は、はい!ちょっと、此方に来てくれると助かります!!」


ん?そっちは暗がりだし、人気も少ないし、危なそうな場所だぞ?


「大丈夫なのか、お前?」

「へっ、だ、だだ大丈夫で、でですよ!?」


コレで大丈夫だと思える奴は唯のバカだ。


まぁ、今の俺が何かされても大体の事は何とかなるだろうし、大丈夫か。


何か困ってる事があって、助けて貰いたいだけかもしれんしな………


理解わかったよ、着いていけば良いんだな?」

「はい!」


と、嬉しそうに、それでいて何処か苦しそうな顔をしながら、彼女は俺の手を引っ張っていく。


しかし、どんどんと路地裏に連れて行かれるなぁ………


「では、始めますね!」

「へっ、何を────」


疑問を問おうとした瞬間、彼女が豊満な物を露わにする。


デカい。うん、デカくてデカい。


────って、違うだろ!?


「何やってんの、お前!?そういう事は初対面の男にやって良い物じゃねぇぞ!?俺の前世で見た娼婦街の売女達じゃあるまいし!?」


と、慌てて服を着せようとする俺に対して、彼女も急に焦って抵抗し始め………


「何でですか!?嫌なんですか!?貧乳派なんですか!?」

「そういう問題じゃねぇよ!?若い子が乱りに胸を晒すなって言ってるんだ!!」


そう答えると、彼女は納得したかの様に頷いてくれる。


そして………


「最初はキスからの方が良かったですか?では、そうさせて貰いますね!!」

「違うよ!?いや、ちょっ、ま────」


本当にされた。


最近、キスする事が多いなぁ………


そんな事を呑気に思っていた。


「うっ、コレは………」


────俺達の記憶が戻る時の反動が襲ってくるまでは。


そして、気が付く。


ヤバい、思い出した記憶が正しいなら、コイツの正体は───


「来てくれ、魔────」


これ以上は言えなかった。


視界が少しずつズレていく。


そして、勝手に倒れそになる。


ああ、間違いなく………


「お久しぶりです、我が愛。」


確かに久し振りだな………


「今の貴方はこんなにも………」


俺の意識が途切れかける寸前、彼女は淫靡な顔でこう呟いた。


「私に殺されて愛されてくれるのですね♡」


続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る