間章2

幕間2 記憶が戻った瞬間(佐藤 ここあの場合)

幕間2


早柚が記憶を取り戻し、ラブホテルで色々と盛った後、彼女は家で一人………


「やっちゃった………」


悶えながら、ベッドの上をゴロゴロして暴れていた。


私は今、ほんの少しだけ後悔していた。


彼に初めてを捧げられた事に後悔は無い。


だが、それ以上に………


「ごめんね、早柚………」


私はでもある。


そして、早柚が惚れていたのは、幼馴染の鎌瀬 麟太郎である。


早柚はずっと彼が好きだった。


少し鈍感で、少し気が抜けてて、それでも好きな男の子。


でも、それを私は………


「最悪だな、私………」


早柚ここあの事情で、台無しにしてしまった。


記憶は2つ、心も2つ………それでも、身体は1つ。


本当にどうしようもない、事実だ。


「これから、どうしようかな………」


でも、東くんを誰かに渡すのは嫌だ。


今の彼にも幼馴染が居る。


其処は私の居場所なのだ。


例え、今は違うとしても………


「う〜ん、こういう時はお婆ちゃん家で癒やされようかな!」


まぁ、記憶を取り戻した私にとって、第2の実家みたいな物だけどね。


☆☆☆


「お婆ちゃん、遊びに来たよ♪」


完全に夜になる前に来れて良かった。


此処なら、落ち着いて考えられるだ────


「あっ────」


私はある所に目線が行った。


其処にある筈の物が無い事に今更気付く。


いや、そうだと言う事は知っていた。


何故、忘れていた?


いや、早柚にとって、どうでも良い事だったからだ。


「あのクソゴミクズ男────」


そうだ、あの男は写真を台無しにした。


私と東くん、家族の大切な最後の写真をゴミに変えたのだ。


許せない────


────許せる筈がない。


そして、それは………


「貴方もね、早柚。」


ああ、楽になった。


もう、早柚に遠慮する必要はない。


早柚の心は、ここあの恋と怒りで全部塗り潰す。


絶対に


「ありがとう、お婆ちゃん。お陰で迷いは無くなったよ♪」


さて、明日東くんに会ったら、何をしようかな?


────助けて。


煩いなぁ、もう貴方の居場所は無いんだよ?


────嫌だ、私の全部を奪わないで。


はっ、今はここあが私なの。


だからね………


「精々、苦しんでね早柚♪」


続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る