第7話 そして、幼馴染達が此処に居る(現実逃避)

第7話


「はぁ?貴方、頭イかれてるの?それは私の物、私だけの特権よ?」

「ふふっ、それは此方の台詞だよ?まぁ、今まで、一応は彼の幼馴染をやっていたみたいね。」

「みたいじゃない。これからも、ずっと、永遠に私達は幼馴染。貴方の出る幕なんて、皆無に等しい。」


空気が重い。


唯、見守るだけで目が乾き、喉も渇いていく。


胃は先程から尋常じゃない痛みを訴え、頭が尋常じゃない位にガンガンと鳴り痛む。


まるで、地獄に居るかの様だ。


────まぁ、修羅場なのだから、当然の話ではあるのだが。


「残念ながら、それはもう此処で終わり、ジ・エンドって訳なの。ありがとうね、これまで彼を幼馴染として支えてくれ。でも、安心して元幼馴染ちゃん。これから、私がちゃんと幼馴染として、彼と歩むから?」

「────殺す、そんなの許す訳がないでしょ。」


ヤバい、そんな事は絶対に────


「負け犬の遠吠えって、こんなに滑稽で煩いんだね。初めて知ったよ。」

「そう、言い残すのはそれだけ?なら、直ぐにあの世へ送るけど。」

「ふふ、まだ有るわよ。私達はね………」


嫌な予感がするなぁ………


まぁ、この修羅場が始まってしまった時点で役満なのだが。


しかし、何を言う気なのだろうか?


「昨日、激しく愛し合ったの♡」

「────嘘ね。妄想か夢物語でしょ?」

「うふふ、残念♪夢じゃないわよ、現実、現実のお話なの♪」

「──────────────飛鳥!!!!」


思わず、無言で目を逸らす。


だが、それは答えを告げている様な物でしかない。


「嘘────私を騙そうとしてる────」

「現実を見るのは辛いのは理解わかるよ、私も経験あるしね。でも、受け入れて前に進むしかないの。残念だったね、元幼馴染ちゃん。」


憐れむ様に、和泉の肩に手を置く。


だが、それを和泉は直ぐに手を払い………


「残念なのは────そっち。」

「何がかな?」

「貴方がに処女を捧げたのが本当だとしても、それは私より上という証明にはならない。」

「────何が言いたいの?」


少しだけ涙目だが、勝ち誇る様な笑みを浮かべ、彼女はこう告げた。


「飛鳥の初めては、私。貴方より先に、私が貰って捧げたの。」

「「えっ!?」」


思わず、俺も反応してしまう。


和泉さん、ソレ、俺、知らない。


─────────────えっ、マジで!?


「マジ。飛鳥と初めて愛し合ったのは、私。コイツは心底嫌だけど、竿の妹。」

「マジでかぁ………」


しかし、何時やったんだ?


「貴方、まさか………」

「何、負け犬の竿妹?」

「無理矢理にやったの?」

「してない、私が初朝が来た夜に夜這いしただけ。」

「同じ事じゃない、このクズ女!!!!」


ああ、キレてる………


まぁ、ここあの事情を考えると、当然の話なのだが………


「無効、無効よそんなの!!!」

「その無効も無効。現実は覆らない。卑怯者の貴方に言われたくない。」

「なっ、誰が卑怯者だって言うのよ!!!」

「貴方しか居ない。今の飛鳥、一昨日と全く違う。飛鳥だけど、飛鳥じゃない。貴方、飛鳥に何をしたの?」


途轍もない怒り、尋常な殺気を放つ和泉。


これ以上は…………


「和泉、ここあ。少し、良いか?」

「─────良い。けど、何?」

「何かな、東くん………」


こ、怖い………


めっちゃ怖いよ、下手したらチビリそうなんだけど!?


だが………


「少し、3人で話そう。俺達の今後に関して、色々とな。」


問題の先延ばしになるかもしれないが、今はこれが最善策だ。


────そうだと信じたいだけだがな。


続く

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