6人目 雨崎 霧音

第44話 雨崎 霧音/阿澄 飛鳥という男

第44話


魅音(霧音)side


どうだ!


私は高らかに宣言してやったぞ、お前ら!!


────あれ?


「あれ、何でそんな無言なの?」


宣戦布告したのは自分なのに、あの女狐どもは何か無言な上に………


「「「「「「……………………」」」」」」

「何で可哀想な奴を見る目で見るんだよ!?」


訳が理解わからないんだけど!?


「だって、ねぇ………」

「論外。」

「お前もコイツの女、いや前世は男か?なら理解わかるだろうが。」

「忘れてるだけじゃないかしら?ほら、先程まで興奮状態だったしさ。」

「まぁ、アレだよね。もうフリだよ、コレ。あからさま過ぎて、ちょっとウケるわw」

「ご愁傷様。骨は捨ててあげるよ。」


はぁ!?


こいつ等、一体何を言って………


「ねぇ、霧音さん?」

「ひっ!?」


こ、この声は………


お、俺が浮気を疑われた時に何度も聞いたガチギレ時の声だ!!


な、何で!?


お、俺、別に悪い事は何も………


「あ〜あ、怒らせちゃった。」

「ざまぁ。」

「毎回思うが、勇者の奴ってよく胃痛ポジみたいに振る舞えるよな。」

「全くよね。よく、殺人鬼な私の事を異常だとか言うけどさ………」

「いや、普通に異常じゃん。でも、その通りだよね。」

「うん、一番ヤバいのはお兄ちゃん。」

「あっ!」


ようやく気が付いた。


うん、忘れてたな俺。


今世で飛音に会えた事に舞い上がり過ぎたんだよ………


「監禁までされたのになぁ………」


前世ではちょくちょく監禁されてたのに、飛音が弩級のヤンデレである事を忘れていた。


コイツは掴んだ物を絶対に離さない。


一度掴めば、例え地獄に居ようと引きずり出してくる女だった。


そんな女に折れ、心底惚れた俺も大概なのだが………


「成る程、怒る訳だ。そして、これは他のお嬢ちゃん方にお暇して貰うのも無理だね。」

「よく理解わかりましたね、霧音さん。」

「はぁ、冷静になれば嫌でもな。」


つまり、コイツは強欲にも全部離さないし、捨てないつもりなのだろう。


それを邪魔しようとした、何よりがだ。


そりゃ、キレる。


というか、気が付かなかったら、今世でも監禁コースだったろうなぁ………


「お前ら、それで良いの?」

「う〜ん、私達の今は奇跡の上に成り立ってるし、彼がそう望むなら………」

「再び会えた、これ以上の喜びと幸せは無いんだよ、小娘。もとより、私は彼の従者。飛鳥、意思のまま。」

「悔しいし、嫉妬はするさ。でも、ある意味俺達はだからな。」

「私達は識ってるからね、彼は何でもするって事を。」

「ある意味怖いよね。こんな選り取り見取りな上に、個性的な娘達をさ。全く、逃がす気が無い上に、全部平等に愛そうとしてるんだよ?」

「【】じゃなくて、実際は本当に【】なのが質悪いですよね。私もその一員に入れて欲しいよ、全く。」


だよなぁ…………


降参、降参。


────いやぁ、参ったよ、本当に。


独占欲は強いつもりだったんだけどな、コレは無理だ。


「ねぇ、霧音さん?」

「何だ、飛音?」

「イジワル、もう言わない?」

「ああ、約束するよ。」


もっと強い物には勝てない。


よく出来てる自然の摂理だ。


「良かった、大好きだよ霧音さん♡」

「俺もだよ、飛音。」


全く、俺はとんでもない女に捕まってしまった様だ。


いや、今更か?


うん、きっと、前世からそうなのだろう。


「あ〜あ、勝てねぇな。」

「プロポーズしてくれた時以外に勝てた時あったかな?」

「それを言わないでくれ………」


何なら、告白だってお前が先だった上に、プロポーズすら先越されそうになったもん。


情けない事、この上無いよなぁ………


「ああ………何だ。さっきは変な事を言ったが、改めて宜しくなお嬢ちゃん方?」


仲良くできるかは別だし、するつもり自体はあまりない。


でも、これから死ぬまで長い付き合いになるだろうから………


そうだとしても………


「皆が呑気してると、一番は掻っ攫っちゃうから、油断しないでね♪」


正妻ポジを狙うのは、駄目じゃないよね♡


続く

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前世ハーレム 〜俺の周りに居る女子達が皆俺の前の人生の嫁達だった件〜 クロスディアⅡ @crossdia

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