第43話 6人目

第43話


「ひ、久し振りだね………」

「お、おう………」


まさか、私の従妹の前世が霧音さんだったなんて………


まるで、運命みたいじゃない………


「まさか、のお婿さんな従弟が、の嫁だった飛音だったなんてな………」

もビックリしたよ。でも、また会えて嬉しいわ、霧音さん。」

「飛音………」

「霧音さん………」


俺達は抱き合い、見つめ合う。


そして、少しずつ顔が、唇が近付いて───


「ちょっと待った!!」

「きゃっ、何するんだ朱里!?」

「くっ、いきなり何なのよ義妹ちゃん!?」


折角、良いムードだったのに………


────おや?


何か、後ろのオーディエンス達が固まってる様な………


「東くんが私と同じメスの顔してる………」

「クロウがこんな顔も出来るとは………」

「くっ、情けないなお前ら。俺なんか致命傷で済んでるぞ?」

「ツッコミ待ちなのかな?それよりも、此方の顔の我が愛も斬りがいがありそうだね♪」

「な、なぁ、もう一回!もう一回その顔をしてよ!!そのオス顔を見てると、滅茶苦茶昂ぶれるだよ、私!!」

「お兄ちゃんがお姉ちゃんになってた、お兄ちゃんがお姉妹化してたよ………」


お姉妹化って何だよ………


全く、訳の理解わからない事を言うなぁ、お前さんは………


「ん?もしかして、飛音。コイツ等も俺と同じ様に記憶が?」

「はい、霧音さん。私と同じ様に、あの娘達も前世の記憶を、私との関係を思い出してくれたんですよ。」


☆☆☆☆☆


「成る程、そうだったのか………」


と、霧音さんは私を抱きかかえながら、私達の話を聞いてくれた上に納得してくれた。


「ん、もっと撫でて………」

「ったく、ワガママめ。」


相変わらず、彼女のナデナデは気持ちいいなぁ………


何十回、何百回、いや何千回でもやって欲しいくらいだよぉ………


「何あれ………可愛い……………」

「性癖、親発掘。」

「くそっ、見るに耐えん。俺の勇者が、メスに………メスにぃ………………」

「斬りたい♡斬りたい♡斬りたい♡斬りたい♡斬りたい♡斬りたい♡斬らせて♡」

「コレがお預けされる感覚かぁ………嫌いじゃないわ♡」

「このままじゃ、本当にお兄ちゃんがお姉妹化しちゃう!!でも、私には何も出来ない。ごめんね、お兄ちゃん。無力な妹で………」


死屍累々だね、君達………


後半に至っては発情してるし、変な事を口走ってるし………


「じゃあ、改めまして。俺の名は雨崎あめざき 霧音、前世のコイツの婿だ。そして、今世は飛鳥のお嫁さんな阿澄 魅音です♪」


と、空気を高らかに宣言する霧音さん。


いや、最後には小憎たらしい魅音の方も出てたなぁ………


「TSという奴か、インキュバスの色狂いじゃあるまいし………」


やめろ、魔王。


ちょっと致命傷なんだ、そこら辺は。


女の意識というか記憶が入ってきた事で、今までとは違って自己同一性の乖離の危機に直面してんだぞ?


まぁ、これから何とかしていくしかないんだけどさ………


「それでさ、少し言わせて貰うぜ、お嬢ちゃん方。」

「ん?何を言うの、霧音さん?」


何か嫌な予感がするんだけど、気の所為だよね?


信じてるよ、霧音さん?


「コイツは俺の、私の物よ。だから、貴方達には渡さない!!早くお暇してくれるか?」


────は?


続く

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