第28話 今の彼女

第28話


「うぅ………此処は?」

「おお、起きたか。此処は俺の部屋だ。」

「そう、我が愛との殺戮場愛の巣なのね。」

「そう言いながら、俺の腕をぶった斬って飛ばすのやめてくれる?」


毎回毎回痛いんだけど。


まぁ、それ位なら別に良いけどさ。


だって……


「全く、ほら上級回復魔法ハイ・ヒール。」

「ありがとう、流石だな魔王。」


俺の腕を魔王にくっつけて貰いながら、無為の方へと向き直す。


「寝起きで悪いんだが、少し聞きたい事があるんだ。」

「何を聞きたいんだい、我が愛?」

「お前、記憶が戻る前は何であんな娼婦紛いな事をしてたんだ?」


そう尋ねると、彼女は少し黙る。


そして、嫌そうな顔をして………


「唯、奪われてただけだよ。」

「奪われてた、か………」


嫌な予感がするな。


もしかして、でもお前は………


「ふふ、察しが良いね。流石は我が愛だ。今世の私は、前世と同じ様にに犯されて、辱められ、凌辱されたのさ。」


「しかも、今世の私は他の人にも色々とヤラれてるってオマケ付きだからね。」と、愉しそうに嗤っていた。


────そう、コイツはそんな奴だ。


こうやって、自らの不幸も、他人の不幸もを嗤うのだ。


────そして、殺すのだ。


まるで、鬱陶しい羽虫を潰すかの様に………


「何で笑えるんだ、コイツ………」

「真っ当にイカれてるからな。」

「ふふ。でさ、私は………」


そして、嗤いながら、彼女は愉しそうに過去を話し始めた。


別に其処までは頼んでないんだが………


☆☆☆


覚えてるのはね、私が中学生くらいの頃に母親が浮気してね、離婚して出ていったの。


私が浮気をお父さんに伝えたせいでね。


私が言わなかったら、離婚する時期が伸びたかもしれないけど、今はどうでも良い議題よね?


でさ、それから………


『うぅ、美奈みな………』


お父さん、泣きながら酒を飲む様になったんだよね。


もう、毎日酒浸りの酒カス状態。


それだけなら、お世話するだけで良かったんだけどね………


『ははっ、美奈!美奈!!』

『嫌っ、止めて!止めてよ、お父さん!!私はお母さんじゃないよ!!!』

『煩い!お前は美奈だ!!』


そうやって無理矢理に押え付けられてさ。


『痛い、痛いよっ!!??』

『良い締りだ、流石だよ美奈………』


で、処女を呆気なく散らされた訳ですね。


メンタルズタボロ&アルコールの力は凄いよね。


実の娘相手にすら、こういう外道行為を出切るんだからさ。


たった1つの行動で、ずっと優しいと思ってたお父さんのイメージまでも粉々に砕いたんだから。  


しかも、その後は………


『えっ、俺は何を………』

『お、お父さん………』


やっと正気に戻ったかと思ったよ。


優しいお父さんに戻ったってね………


でも、現実は何時だって非情なんだよ。


『あはっ、あはははは♪」

『お、お父さん?』

『そうだ、そうだよ!何で、今まで気が付かなかったんだ!!』


当時は怖かったよね………


壊れたラジオかの様に、大きな声で狂ったかの様に笑い続けてたからね。


まぁ、実際に壊れてた訳なのよ。


笑いが落ち着いたかと思った瞬間さ………


奈美なみを俺の妻にすれば良いんじゃないか!』


これが地獄の始まりだったんだよね。


続く

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