第40話 彼は何処に居ても助けてくれる

第40話


「あ゛あ゛?ナメてんのか、テメェ!!」


ちょっと、キレちゃったじゃん!!


「この程度でキレるとか、チョーウケるんですけど♪」


何煽ってんの!?


「え、何処が!?」


まさかのナチュラル!?


「くっ、ふざけやがって!!」

「おい、お前ら!!もう無理矢理に連れて行って分からせてやろうぜ!!」

「「「おう!!」」」


ど、どうしよう………


このままじゃ、見知らぬこの人達に凌辱されるんだけじゃん………


エロ同人誌みたいに、エロ同人誌みたいに!!


「緋咲ちゃん………もしかして、結構余裕あるんじゃない?」


それにしても、数で攻めて来るか………


やっぱり、ゲスな奴等の考えはたかが知れてるね。


「でも、前世の真昼も大概じゃない?」


純愛、純愛になったからセーフです!!


────いや、コレはある意味天罰という奴なのかな?


でも、まぁ………


「そういうのを大人しくウケる性根じゃないんだよね、私。」


だよね。


「わぁ、自分にさえも直ぐに肯定された♪」


自業自得じゃない?


「それはそうだよねw」

「な、さっきから何を言ってるんだよ!?」

「なぁ、やっぱり止めようぜ?」

「確かにコイツ、何かメンヘラっぽい気がするし………」

「何ビビってんだよ、お前ら!!」

「そうだ、こんなにコケにされてるのに、何もしない方がダサいだろうが!!!」


いや、人を集団で囲んで、無理矢理に連れ去って、犯して凌辱しようとする方がダサいでしょ。


「同感♪既にダサいんだから、あんまり変化無いよ、良かったね?」

「なっ、このクソアマがぁ!!!」


う、腕掴まれたじゃん!!


「大丈夫だよ、緋咲。」

「何が大丈夫だ?恐怖で頭でも可笑しくなったか?」

「はは、私は知ってるだけさ。」


何を?


緋咲ちゃんも私の記憶が見れるだろう?


なら、心の底から理解わかる筈さ。


私より弱い癖に、男の癖に、誰よりも私の事を守ろうとしてくれた………


「私、面倒なのは嫌いなんだ。だからさ、後は頼んだよ。」


まさか………


「うん、そのまさかさ♪」


そう言った瞬間、私達の腕を掴んだ男が吹っ飛んだ。


いや、


其処には………


「飛鳥さん………」


☆☆☆☆☆


はぁ、何か嫌な予感がして後を着けてたが、杞憂じゃなかったな。


「そうだな、真昼。いや、今表に出てるのは緋咲ちゃんの方か。まぁ、どっちでも良い話だな。」


ああ、どっちでも良い。


今関係あるのは、コイツ等が俺の女に手を出そうとした事だけだ。


「おい、お前ら。其処で俺に蹴られてノビてる奴みたいに成りたい奴から掛かってこい。これでも元勇者だ、剣とか無くてもまぁまぁ強いぜ?」


『お前は全ての武器に適正有ったから、何しても強かっただろ。』とか魔王の幻聴が聞こえた気がするが、無視だ無視。


まぁ、簡単に止まらない様なら、燃や───


「ちっ、ズラかるぞお前ら!!」

「えっ、ちょ、待てよ!!」

「クソが、覚えてろよ!!」

「あっ、お、俺を置いてくなよ!!!」


と、意気込んだ瞬間に彼等は一目散に逃げ出した。


な、何か拍子抜けしたなぁ………


「今日日、『覚えとけ』とか使う奴居るんだなぁ………」

「だねぇ。まぁ、助かったよ、真夜。」

「別に良いけどさ、お前は自分で何とか出来ただろ?」

「まぁね。これでも、前世は女子ボクシングチャンピオンだぜ?」


まぁ、格闘技を習ってる人は、そういうのを試合や練習でしか使っちゃいけないらしいのだが………


コイツは前世の話なので、関係ないと切り離してそうだな、うん。


「じゃあ、何で………」

「この世界では男が女を守るんだろう?私はそれを体験したかっただけさ。」


はぁ、だろうと思った。


「で、お眼鏡に叶ったかい?」

「ふふ、勿論♡」


それは良かった。


☆☆☆☆☆


「きゃっ!!」

「何処を見て歩いてんだ、お前!!」


人が少ない別の所へ逃げ出した俺達は、其処で暗そうな女とぶつかった。


ちくしょう、痛いじゃねぇか………ん?


コイツ、よく見れば………


「良い身体してるじゃねぇか。」

「けけ、傷付けた礼をして貰うべきじゃねぇか?」

「良い案だな!!」

「まぁ、傷付いたのコイツだけだが、俺も乗ったよ。」


先程の奴で懲りれば良かったのに、俺達はそんな事も思い浮かばなかった。


だから、俺達は開いてしまったんだ。


────災厄が詰め込まれている、パンドラの匣を。


「もしかして、私を犯そうとしてる?」

「へへ、よくわ───」


斬られた。


女の問に答えようとした仲間が、目の前で縦に真っ二つになった。


「えっ────」


この女は驚愕して、震えるのさえ許さなかった。


その間に、残りの仲間が横に、十字に斬られて物を言わなくなる。


ああ、駄目だ。


考えたくない、でもコレは………


「貴方で最後、ばいばい♪」


そう告げられた瞬間、俺は俺の身体が17等分されるのを見ながら死んでいった。


「詰めが甘いなぁ、我が愛は。」


続く

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