前世ハーレム 〜俺の周りに居る女子達が皆俺の前の人生の嫁達だった件〜

クロスディアⅡ

第1話 プロローグ

第1話


「ねぇ、お爺さん………」


声が聞こえる。


俺の………大切な人の声だ………


「私を置いていくのですか?」


答えられない。


答えたいのに、口が全く動かない。


「私を守るって、言ってくれたじゃないですか?」


懐かしい言葉だ。


今まで忘れていた癖に、鮮明に思い出が蘇ってくる。


どうして、こんな時に………


「それなのに、どうして先に行っちゃおうとするんです?」


ごめん。


俺にはそれしか………


「────解っています。これは仕方のない事だって。」


それでも、俺は君との約束を破った。


最悪の夫だよ………


「お爺さん、最後の我儘です。聞いてくれますか?」


勿論、君の我儘を聞くのは楽しかったから。


「もし、本当に生まれ変わりがあると言うのなら………」


彼女は涙を流しながら、こう告げた。


────「また、私と添い遂げてくれますか?」、と。


俺の答えは勿論、決まっている。


「当たり前だ。」


言葉には出来なかったが、そう答えた。


そして、意識は遠のき………


☆☆☆


「はっ、今の夢は!?」


思わず、飛び起きてしまった。


最近見る、悲しい夢………


そこに居るのは俺の知らない老夫婦らしき人達で、何度も最後の別れのシーンを見せられていた。


でも、何故か………


─────他人の様な気がしなかった。


「いや、気の所為か………」


明日は早いんだ。


さっさと寝直そう。


そう思い、再び床に就く。


案外、眠りに付くのは早かった。


「愛してる☓☓☓。」


だから、気が付かなかった。


俺が、無意識に誰かの名前を呼んでいた事を。


『私も愛してるわ、貴方。』


────それに答える何者かが居た事を。


愛という呪いに縛られた運命の出会いまで、後わずか………


続く

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