第16話 早柚の親友
第16話
???side
時系列は遡り、昨日の夜………
私はとある男に呼び出されていた。
────まぁ、行く気は無いのだが。
プルルル!プルルル!
「はぁ、やっぱりそうなるよね………」
呼び出しを無視していたら、電話が急に鳴り始める。
はぁ、面倒だなぁ………
「はい、もしもし………」
『おい、何で来てくれなかった!?』
いきなり、耳を裂く様な声が響く。
コイツは
私の親友、佐藤 早柚の幼馴染である。
誠に遺憾なんだけど、ね………
「えっ、面倒だし………」
お前と二人きりになると、早柚が色々と可哀想な事になるし………
それすらも
もう、ずっと髪型モドキを食べてなよ………
『くっ………実はな、相談したい事があったんだ。』
「私は聞く義務が無いので、切るね。」
『待ってくれ、早柚の事だ!』
「全く、相変わらず愚鈍ね。早く話しなさいよ、バカなの?」
『えぇ………』
はぁ、それを早く言いなさいよ。
鞭を振る事しか能がない愚鈍男め………
『実は、早柚が可笑しくなったんだ………』
「可笑しい?」
確かに可笑しいっちゃ、可笑しいわよね、あの娘………
こんな男を好いているのだし………
『今日は起こしてくれなかったんだ。』
「自分で起きなさいよ。」
『弁当も作ってくれなかった。』
「自炊出来ないお前が悪いでしょ。」
何これ、自慢?
切ろうかな、やっぱり………
『何より、俺とは別の男と居たんだ!しかも、別の女子も侍らせてた!!」
「それを早く言いなさいよ!詳しく!!ほら、詳しく!!!」
『えぇ………』
お前は何で学習能力が無いの、馬鹿なの?愚鈍なの?
馬鹿で愚鈍だったわね………
『ていうか、知らなかったのか?』
「待ち人の所へ行くとしか聞いてないわよ。『どうせ、忌々しい愚鈍男の所に行くんだろうな。』としか思っていなかったわ。」
でも、確かに可笑しいわね。
可笑しい頭が、より可笑しくなってる。
あんなに好いていた愚鈍男を直ぐに吹っ切って、別の男の所へ行くなんて………
あの娘には無理………というか、絶対にギリギリまで粘着するタイプよ。
地味に陰湿で貞子みたいな感じで………
しかも、別の女子を侍らせる様な奴に近付く娘でもない。
なら、一体何が………
「
『えっ、何が────』
もう煩かったので、直ぐに切る。
「ふふ、どんな男か楽しみね………」
あの愚鈍の男の言を信じる気は無いが、もし本当だとしたら………
「うん、斬っちゃおうか♪」
それなら、他の女の子も救われるよね♪
☆☆☆
「へぇ、クラスは違うのね………」
あの後、どうやって守るのかを考えてたせいで、見失ってしまった。
その上、遅刻しそうにもなった。
だが、運良く遅刻せず、彼等にも追い付く事が出来た。
「しかも、良く見たらあの娘『井伊 和泉』じゃない………」
あの有名な娘まで侍らせれる様な男には見えないんだけど………
趣味、悪いのかな?
でも、それなら結果論的に早柚も趣味が悪い事になるし………
「ああ、どうしよう!」
「大丈夫か?何か手伝おうか?」
「いや、大丈夫よ!ちょっと親友について悩んでるだけだから!!」
だから、ほっといてよ!!
「へぇ、それはどうストーカーするとかか?」
「へ?」
其処には、私が監視してる男が立っていた。
「やぁ、ストーカー女。お前、一体何者で、何の用だ?」
拝啓、早柚へ。
────私、物凄くピンチです。
続く
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