第31話 親子の別れ

第31話


ジリリリリン!!ジリリリリン!!


「朝か………」


あれ、起きれない?


「むにゃむにゃ、私に殺されて愛されて………」

「お前か、無為………」


これで起きれない理由が何となく理解わかった。


頑張って周囲を見渡すと、腕が無い。


この感じだと、足も斬られたな。


これだとそのまま監禁されそうな雰囲気だよな。


監禁するなら、達磨状態が『私の好きな性癖です。』とか、無為がよく言ってたな………


「お〜い、魔王。治してくれる?」

「うぅ、何だよこんな朝っぱらから………お前、何があった?」

「斬られた、多分寝惚けて。」

「マジかよ、ほら上級回復魔法ハイ・ヒール。」


おお、腕生えてきた。


相変わらずキモいな、この光景………


「おい、起きろ無為。」

「むにゃ?あ、おはよう、我が愛。」

「どうする?朝ご飯でも食べてから、殺りに行くか?」

「う〜ん、そうさせてもらおうか。」

「じゃあ、今日は俺が作るよ勇者。お前、昨日は斬られ過ぎて疲れてるだろ。」

「おっ、サンキューな。お前の料理、久し振りに食べれるなんてな。お前の料理、めっちゃ美味しいから、凄い嬉しいわ。」

「へぇ、それは愉しみだ。」


所々に血の気が交じるほのぼのな会話を交わしながら、良い朝を過ごす俺達。


「美味いね、コレ!!」

「だろう?コイツ、娘に美味しいって言って貰う為に、必死に覚えてたからな。」

「むっ、お前も含まれてるのを忘れてんじゃねぇよ、勇者!!!」

「そういや、そうだった。昔も今も美味しいよ、魔王。」

「お、おう………理解わかれば良いんだよ、理解わかれば。」

「私も色々と終わったら、練習しようかな?人を解体するバラすのは得意なんだけどね………」


確かに色んな風に斬るのだけは得意だったよな、お前………


☆☆☆


「ふぅ、良い朝ご飯だったね………」


お腹いっぱいで大満足だよ。


でも………


「やっぱり、満たされないなぁ………」


腹の虫が治まっても、根本的に満たされない物がある。


それを欲するせいで、さっきから喉が渇いてしょうがない。


ああ、早く!早くしないと………


「奈美!!今まで何処で何を────」

「あっ、ちょうど良い所に来たね。ありがとう、お父さん♪」


やっと、疼く衝動が止められるよ。


「お、俺の腕が!!??俺の腕がぁァァァ!!!???」

「うんうん♪その声、その悲鳴が聞きたかったんだよ、お父さん♡」


そういう悲鳴や怯え顔は、ちゃんとした証拠や証明になるからね。


何回でも、好きなだけやっても良いからね?


「お、お前、奈美じゃ………」

「そうだよ、お父さん?私はお母さん、奈美じゃない。貴方の娘、美奈だよ?」


それも、後少しで終わるけどね。


「み、美奈………」

「ふふ、やっと見てくれた。じゃあ、次は両足だよ♪」

「や、やめっ────」


何か言おうとしていたお父さんの足を切断する。


大丈夫だよ、お父さん。


ちゃんと痛くない様に斬ってるから。


まぁ、ショックを受ける事自体は止められないだらうけどね?


「あ、ああ、う、動けない。だ、誰か、助けて────」

「駄目だよ、お父さん。親子の時間なのに、他人を入れようとするなんて。メッ、ってしちゃうよ?」


そう言いながら、私は散々私を泣かしてきた下半身の肉棒を斬り落とす。


痛くはない筈なんだけど………


「ひッ、やッ、おッ、ゆッ、いッ───」


ショックで支離滅裂な事を言い始めた。


脆いなぁ、お父さんは………


我が愛はこれ位なら平気だったよ?


まぁ、羽虫ならこの程度か。


「じゃあ、最後の仕上げだね♪」


首から上以外を斬り刻み、消滅させる。


そして、それでも生きている羽虫の生首を持ち上げて………


「お父さん、私ね………好きな人に出会えたんだ♪」

「──────────────────」


お父さんは何も言わなかった。


当然だ、喋る機能はとっくに停止してる。


まぁ、聴力は残ってるだろうから、それで良いだろう。


「だからね、お父さんはもう。」

「──────────────────」


お父さんは何も言わない。


でも、寂しそうに首を振っている様に見えた気がした。


全く、バカだなぁ、この羽虫は………


「だから、捨てるね♪お母さんが、お父さんを捨てた様にさ♡」


そう吐き捨て、首を宙へと放り投げる。


そして、照準を合わせて─────


「ばいばい、お父さん♪」


────跡形も無く、斬り裂いた。


続く

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