第18話 二度あることは三度ある

第18話


昼休憩、宣言した通りに綾子を連れてきた訳なのだが………


────俺は今、現在進行系で土下座させられていた。


「で、こうなった訳ね………」

「また、たらし発動かと………」

「何で、そんなに信用ないかな、俺………」

「当然でしょ?」

「残当。」

「はい………」


自業自得とは、この事だ。


まぁ、実際に二人の女の子を侍られせてる様な物だしね………


「えっ、何、早柚?本当にどうしたの?遠目から見てた以上に、性格が可笑しくなってるじゃない!」

「あっ、そうよね。綾子にはそう映っちゃうよね………」


ああ、ここあは前世の記憶を思い出したせいで、前とは性格変わっちゃったのか………


俺とアリスは殆ど変化ないからなぁ………


「そう映るも何も、早柚は清楚で大人しい大和撫子、可愛らしい小動物みたいな感じだったじゃん!何よそれ、何かもう別人じゃん!ちょっと、気持ち悪いよ!!」

「えっ、そ、そう………」


可哀想だな、ここあ………


でも、普段から付き合ってる人からだと、そう映るんだなぁ………


記憶を取り戻す事の弊害だな、うん………


「お前達、一体早柚に何を────」

「えっ、アリス!?何で、俺の首根っこを掴んで猫みたいに────」


急に俺は掴まれたと思うと、いきなり前に押される。


そして、いつの間にか綾子の後ろに立っていたここあによって、綾子も前に押され………


「「んんっッ────────────」」


はい、またこのパターンですよ。


何をしたかって?


前々回と前回と同じですよ、はい。


キス、接吻、口付けですね、うん。


アレですか、口で黙らせるとかいう完全に犯罪の手口ですか?


「はぁはぁ、お前等は俺を犯罪者にでもするつもりか!?」

「大丈夫。それに、入っても待つ。」

「何となくだけど、大丈夫だと思うよ。例えぶち込まれても、気長に待つから♡」


待ってくれるのは嬉しいけど、先ずはぶち込まれる様な事をさせないでくれる!?


ていうか、根拠無しで大丈夫とか────


「うっ、頭が────」

「くっ、俺も────」


この感じ、この痛みは………


────間違いない、前世の記憶が戻る時の反動だ。


この記憶は………


「はっ、此処で会ったが百年目だな………」

「それは俺の台詞だぜ?」


全く、忌々しい再会だ。


俺のひ孫を穢しやがって………


「わぁ、傍から見たら、私ってこんな感じなのかぁ………」

「肯定、大変身。」


酷い言われ様だな………


まぁ、今はそんな事どうでも良い!


「この世界から消えろ、!!」

「だから、俺の台詞を奪うなよ、!!」


紅い焔と蒼い焔がぶつかり合う。


ん?


何で焔が………


「な、なぁ、魔王。焔出てるな………」

「お、おう………何か昔みたいなノリでやったら出たな………」


お互い混乱してしまったせいで、仲良しみたいなノリになる。


普段は殺し合う仲でしかないのに………


「傍から見ると、厨二病全開な会話でしかないね………」

「痛い。」


外野、煩いよ!?


何か恥ずかしくなって来るから、やめて!?


「って、今はそんな事は良い!!お前は、此処で引導を渡してやる!!」

「ちっ、癪だが確かにその通りだな!!今度こそ、俺が滅ぼしてやる!!」


再びぶつかり合おうとした瞬間────


「いい加減にやめろ、喧しい。」

「あ、アリス───」

「なっ、人間の癖に何だこの威圧!?」


王族モードになった、アリスが間に入って止めてくる。


危ないだろうが、お前!?


「今は互いの事情を話すべき時だ、違うか?異論が有るなら聞こう。」

「俺は無い………」

「─────チッ、俺もだ。」


こうして精神的に黙らされ、渋々従う事にした。


この腐れ魔王もそうするらしい………


そういや、コイツのお義母さんも似た様なタイプだったな………


で、コイツはあの人が大の苦手だった。


「はっ、ウケる。」

「あ゛あ゛!?」

「死ぬか、お前達?」

「「すみませんでした!!!!」」


続く

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