第二章~挨拶と婚約に契約を添えて~
「参考にならない夫婦だ……」
俺は非常に困っている。
仕事も忙しくなり、12月に入った。
今日は12月20日。
昨日まで今日と明日のために休みなしで働いた。
だが、午前中はどうしても終わらなかった仕事をこれでもかっていうくらい急いで終わらし、たった今デパートへやってきていた。
「どっすっかな……。ネックレスか?いや、俺にセンスはねぇし……。ちっ、何にすりゃあいいんだよ……」
明日、12月21日は穂乃果の誕生日だ。
そのために俺はプレゼント選びに奮闘していた。
「バッグか?いや、既に何個かセンスのいいバッグもってたしな……。靴も指輪もサイズ知らねぇよ……!」
何店舗も回って、いろいろな物を見ているうちにどんどん何がいいかわからなくなっていく。
どれだけ考えても良いものが思いつかなかったため、行き当たりばったりでとりあえずデパートにきた。
「スマホで探すにしてもなぁ……」
ペアネックレスやイヤリング、コスメ商品等ばかりでなにがいいのかわからない。
高校生とかだったらペアリングとかでよかっただろうが、大人になってまですることだろうか?
いや、するな。
ペアルックするくらいだもんな。
ネックレスなんて普通か。
「それにしてもないなぁ……。いっそのこと直接聞くか?」
一旦飲食ブースへ向かい、遅めの昼食を取る。
冬限定月見バーガーを片手にスマホとにらめっこを始める。
どこのサイトにいってもほぼ一緒。
正直、何度同じサイトを見たことか……。
「穂乃果のことを知ってる人に聞くしk……矢野夫婦!!」
俺は早速矢野さんに電話を掛ける。
仕事中だが、たぶん出るはずだ。
出なかったら直接真由美さんに電話するしかない。
『どうした?』
「俺、今穂乃果の誕プレ選びに来てるんですけど、なんかおすすめないっすか?」
『は?婚約指輪でも渡しとけよ?』
「はぁ?そんなもん重すぎるっすよ!」
『俺は誕プレはペアリング渡したら、「これ婚約指輪?」とか言われたぞ』
「真由美さんらしいっすね。いや、いまはそういうこと聞いてるんじゃないっすよ!考えてもみてくださいよ!4日後、クリスマスっすよ!婚約指輪あげたらクリスマスなに渡すんすか!」
『んなの、しらねぇよ。俺は競馬デートで俺が馬券全額負担で手を打つって言われてんだよ。俺が真由美に贈るプレゼントだよ。ほぼ決めたのは真由美だが』
愛情のかけらもないプレゼントだな……。
まぁ真由美さんは一番喜びそうではあるけどな。
勝ち馬馬券も全部真由美さんに行くなら本人はかなりガチだろうな……。
「くそっ、参考にならない夫婦だ……」
『今日のお前、容赦ねぇな?』
「焦ってるもので!とりあえず、真由美さんに聞いてみます!」
『最初からそうしとけよ……。ちゃんと祝ってやれよ?』
「うっす。とりあえず、仕事頑張ってください」
『おう、お前もしっかり男見せろよ?』
特に参考にならずに、通話を切った。
それにしてもクリスマスデートで競馬か……。
矢野夫婦って感じがするわ。
真由美さんは馬券外して発狂、隆司さんは1通りの値段に発狂しそうだな……。
「とりあえず、真由美さんに電話するか……」
続いて、電話を掛けるのは最近何かと穂乃果と一緒に買い物いったりしている真由美さんだ。
ちゃっかり仲良くなっていた二人は結構会っているらしい。
『婚約指輪でいいんじゃない?』
「はぁ?」
1コールで出たと思ったら、驚きの一言目だった。
無意識で悪態付いてしまった。
『はぁ?って言うけどね、私は旦那に婚約指輪という名のペアリングもらったわよ?』
「それは真由美さんの解釈じゃないっすか……。こんな若造が二十歳になる彼女に初めて贈るプレゼントが婚約指輪って重くないっすか?」
『そういわれるとそうね…。じゃあ二人で買いにいけば?予算決まってるんでしょ?』
「まぁ、2,3万くらいかなって思ってました」
『無難でいいんじゃない?迷って変なもの渡して微妙な反応されるくらいなら、二人で買いに行きなさいよ。それでも婚約指輪欲しそうならクリスマスプレゼントも含めた誕プレにしなよ』
「というか、真由美さんは何か月くらい付き合って結婚したんですか?そういえば、聞いたことなかったっすわ」
結構結婚後の話は隆司さんから聞いてはいたが、結婚前の話は聞いたことを思い出した。
この夫婦のことだ。
俺らより進展が早いんだろうな……。
『私ら、付き合った年数で言えば3年よ?私が19になってすぐナンパされて何回かふたりで遊びに行って、数か月くらい経ったあとから付き合ったの。交際記念日が結婚記念日だもの』
「えぇ……」
『そもそも誕プレで婚約指輪もらったのも22の年よ?つまり、結婚した年ってわけ』
思いのほか、普通のカップルだったようだ。
◇◆◇◆◇◆◇
「ていうわけなんだよ!」
『なんだ、そんなこと?じゃあ、お言葉に甘えてなにか買ってもらおうかな?』
真由美さんと通話を終え、すぐに穂乃果に電話をし、事情を説明した。
とても真剣に説明する俺を穂乃果は笑いやがった。
俺が1か月くらい悩んだというのに!!
『じゃあ、お化粧とかするから1時間くらいしたら迎えお願いできる?』
「了解。俺もそんくらい掛かるからゆっくりでいいぞ?」
『わかった。気を付けてきてね?部屋開けておくね?』
というわけで、今からデパートを出て、穂乃果の家に向かうことになりました。
最初からこうしとけばよかったとおもう反面、男としてプレゼントを決めれないのは情けないなとも思う。
「まぁ微妙な反応されて、無理にうれしそうにされるよりはいいか……。主にメンタル的にだが」
車に乗り込んで出発する。
今の時間は14時半、穂乃果の家に着くのが15時半だ。
明日は穂乃果が家がいいというので、ピザなどを注文するつもりだ。
「ん。つうことは今日、どっか予約しといたほうがいいか?」
俺の悩み事がまた一つ増えた。
~~~~~~
といわけで2章です。
この話は短くなっちゃいました。
読者がどういう関係まで進めるのか、なんとなくわかるような構成です。
だから、特に必要のない矢野夫婦の関係が出てきたわけですね……。
作者にも予想外です。
さて、ここまで連載してきましたが、目標だった総合日間2桁順位は達成できました!
9/29の時点で総合週間で100位だったので、翌朝には2桁だといってたら嬉しいです!
これもみなさんのおかげです!
なるべく毎日投稿を続けていくので、みなさま、どうか楽しんでいってください!
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