一目惚れで初恋で球技大会の練習で

私がまだ恋愛を知らなかった頃の話。


高校生になると自然と男女の付き合いを繰り返す友人たち。

オシャレに興味が無く、人並みの容姿だったと自負していた私は、たまに告白されるくらいで恋愛に興味がなかった。


女子を選別するような男子の視線に嫌気を差していたのもあって、ほぼ男子との絡みは0に等しくなった。

そんな無に等しい高校時代に変化が起きたのは球技大会の種目合同練習していたとき。

男女共通のバレーの試合待ちしていた私はふと隣で試合をしているコートを見た。


隣のコートではうちのクラスのバレー部を主体にした主力チームが戦っているはずだった。

女子混合ということもあって張り切っていた男子たちのことだ。

どうせカッコつけようと未経験に近い人たちに本気になっているのだろうとスコアボードを見る。


18-4


負けていた。


「ねぇ、隣のコートすごくない?」


「ん~、本当だ。……え、負けてんじゃんっ!」


待機している男子は集まって話しているので気づいてない。

女子は興味ある男子の応援していた。


そんな中、暇を持てはやしていた私は友人のあやと話していた。


「あっちって館林たてばやし君がいたよね?」


「いるいる!まじでボッコボコにされてんじゃん!ちょ、気になるから見に行こっ!」


彩に引っ張られて隣のコートへ。

待機組の女子がイケメンと言われている館林君の応援しているところに合流。

彩が遠慮なく状況を確認していた。


「え、もう1ゲームとられてんの?……25-13で健闘したほうなの?!」


「館林くんが点数を全部決めてくれてるんだけど、相手の連携がやばいのよ」


私の視線は既にコートで楽しそうに練習している相手のチーム。

既に22-5。

男子4人と女子2人の混合。

その中心にいる男子2人が声を出し合っていた。


「朝陽!ナイスレシーブ!」


「おう。なんでか俺のところに飛んでくるんだよな~」


「だって、館林の野郎お前のことを今にも殺しそうな視線向けてっぞ」


「なんかやったか?イケメン様に嫌われるようなことやってねぇぞ?」


「お前がアイツのアタックを悉くレシーブするからだろ?」


「バレー部の意地ってやつか?」


23点目を決めてサーブの順が回ってきた相手チーム。

次のサーブはその朝陽っていう男子っぽい。

ボールをもって上から叩くフローターサーブ。


ボールの行く先は館林君のほうへ。


宙を舞うボールを館林くんはアウトボールだと判断し見逃す。

無常にも線状でバウンドしたボールを審判をしていた先生はインプレーと判断していた。


「ちっ!」


館林君は明らかに苛立っている。

それに追い打ちをかけるように相手チームが声を上げる


「ラッキー!」


「煽るな、煽るな」


「マッチポイントぉぉ!」


そんな軽口が聞こえてくる。

そのままもう1点決めてゲームセット。

2セット目は25-5と一方的な展開だった。


「ねぇ彩、あの朝陽って人知ってる?」


「え~、う~ん知らないかも。興味あるの?」


「……たぶん」


「ほほぉぉ!あの穂乃果が男子に興味持つなんてねぇ~」


私の視線は朝陽という男子に釘付けだった。

彩もニヤニヤしていて、私たちの試合がやってくるまで揶揄われた。


余談だが、煽りに煽りまくっていた啓介が女子にモテないのはこういう行動のせいでもある。






彩が元同じ中学の人に情報を聞いてきたらしい。

日向朝陽くん。

中学ではサッカーをしていたそうだが、高校では帰宅部へ。

友人の高橋啓介君と遊びでやっているスポーツだが、かなり練度が高いらしい。


そして迎えた合同練習の体育。

男女別の種目の練習の時間。

といっても女子の参加は共同バレーとそれに参加してないバドミントンの二種目。

男子は共同バレーと任意のバスケ、バレーに参加しなかった人が卓球。


男子が隣のコートでバスケをしている。

バドをしているコートを離れ男子のバスケを見に行っていた。


当然、彩も一緒に見学中。


両クラス主力チーム同士の戦い。

バスケ部1人と元バスケ部2人がいるこちらのクラス。

相手のクラスの子とは全く知らないが、私は内心相手チームを応援していた。


「それにしても日向君も高橋くんもすごい活躍ね~」


「……そうだね」


「穂乃果~?ちょっとガン見し過ぎじゃない?」


点数は若干こちらが勝っている。

ほぼバスケ部の活躍だが、それでも中々点差が開かない拮抗ゲーム。


疲れからか、元バスケ部の男子がシュートを外し、高橋君という男子がリバウンドを取りカウンター。

ドリブルでゴール付近までもっていき、いつの間にかフリーになっていた日向君にパスを出した。


スリーポイントシュートを決めた日向君。


「……ナイシュー」


「もっと大きな声でいいなよ?」


「相手チームを応援してるのは違うじゃん?」


「まぁね……。でも、実際すごいよね~」


バレー同様こちらのバスケ部3人が苛立っていた。

活躍はしているのに点差が開かないジレンマ。

フリーで打たせた元バスケ部に余計腹を立てる現バスケ部。


さすがの日向君と高橋君でもバスケの最中は無駄話をしていない。

シュートを決めたときの声だしと軽いタッチくらいである。


そのまま1ゲーム5分の2セット目を終える。

スコアは21-25でこちらが一応勝っている。


5分の小休憩を終え、3セット目へ。

次のコートには日向君はいなかった。


コートの隅で応援していた。


「日向君に準備してたタオル渡して来たら?」


「む、無理無理!……い、行きたいけど相手チームだし」


「まぁそうだよね~。それに高橋君の陰に隠れているけど日向君の活躍も凄いね~」


今は日向君と交代した人が試合を支配していた。

バスケ部でも既に主力として活躍している人っぽい。


高橋くんと連携してどんどん点数を決めていく。


「4ゲーム目、あの3人かな?」


「だといいけど……」


「バスケも隣のクラスの圧勝かな~」


そのまま3セット目も終わる。

バスケ部と高橋君を残しながら他の生徒と交代するように日向君がコートへ。


相手チームの主力5人対こっちの主力5人でのラストゲーム。

点数は38-35、逆転されていた。


バスケの試合は流れが速い。

いきなりバスケ部のパスから日向君が2点を決めた。


「相手チームつよ~」


彩のつぶやきに反応はせず、私は無言で日向君を目で追う。

私は彼しか視界に映っていない程に集中していた。








~~~~~~~~~~~~~~






あまり書くことがなかったので高校生編を。

といっても元々絡みの少ない2人なので3話くらい。


こういう話が読みたいみたいなのあったらコメントください。

1話2500くらいを目安に書きます。

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