「男の子と女の子どっちがいい?」
※ちょっとネガティブっぽいシーンがあります。
(シリアスとの違いってなに?)
日常のクセというのは中々に抜けないものだ。
昨晩、これまでにないほどハッスルしたというのに起きてしまった。
まだ外は暗く、ほぼ真っ暗な部屋。
隣では毛布にだけ包まっているほぼ全裸の穂乃果が眠っている。
起こさぬようこっそり抜け出す。
「んん~……」
さすがに疲れて眠っている。
起きる気配はないが、そっとベッドから抜け出し、床に捨ててあるであろうスマホを手探りで探す。
ちょっと離れた位置に放り投げられていたスマホを見つけ、画面をつけるとまだ5時だった。
「汗でベタベタすっから風呂入ってくるか……」
忍び足でそこらへ脱ぎ捨てられている服をかき集め、部屋から出ていく。
「さっむ……」
当然俺もパンツだけ履いたほぼ全裸だ。
音をたてぬ駆け足で風呂場の暖房機器を付け、シャワーを温める。
洗濯ものは専用のかごの中に入れ、下着類の入ってる棚から俺のパンツを取る。
「着替え忘れった……。まぁ、我慢すればいいか」
着替えも寝室にあるので、戻るわけにもいかず我慢することに。
浴室から湯気が出てきたので、パンツを脱ぐ。
冷えた身体にシャワーは熱すぎたが、目を覚ますには丁度よかった。
さらっと頭と体を洗い、シャワーを高い位置にセットし、頭から被せる。
「あー、冷静になるとやっちまった感が半端じゃない……」
付き合ったとは言え、今まではゴムありだった。
初の感覚に途中から猿と変わらなかった気がする……。
「子供……、出来たら責任とれっかな……」
責任は当然取るつもりだし、取るつもりだからヤッたまである。
しかし、不安がどうしても取り除けない。
出来るとは限らないのに、出来ちゃった想像ばかり。
貯金もあるし、仕事も安定している。
今後のことだって相談もできる環境だ。
しかし、俺らはまだ若すぎる。
わからないことだらけだ。
「でも、こんなこと俺が考えたってなぁ……」
結局一番不安なのは、妊娠してしまった場合の穂乃果だろう。
俺にできることと言えば、穂乃果に負担をかけないことくらいだ。
俺よりも穂乃果のほうが子供は欲しがっているし、最悪大学だってやめる覚悟だろう。
穂乃果自身の問題だが、結局俺のために動くことも容易に想像できる。
「あー、思考がネガティブになってきたわ……。ちょっと考えること変えねぇとやべぇ……」
12月もあと10日しかない。
俺も寮を出る時期が近付いてきたわけだが……。
「すっかり忘れったわ……」
ここ3か月、穂乃果と過ごしていて当たり前のように一緒にいたから同棲気分だったが、俺も穂乃果も3月で契約が終わるのだ。
「ちょ、斎藤のおっちゃんに連絡いれとくか……。あと、今日相談しねぇとな」
子供も作るとなったら、正直一気に話が進む。
実質子供を作る行為はプロポーズに近い。
言わないだけで行うのである。
いまの世では結婚するために子供を作るっていうのは当たり前になりつつある。
逆にいえば、子供を作らないのであれば遊びの延長なのだろう。
「家のローン、養育費、その他必要経費は今の給料でなんとかなるし、あとは穂乃果の両親だけだな……」
挨拶にいくのはかなり怖い。
穂乃果のお父さんは俺を連れてこいと言ってるらしい。
怒ってるというわけではなく、気になってる程度だと言うが、実際一人娘の彼氏なんてみたら態度が変わってもおかしくない。
実際にNTRに感覚は近いらしいからな。
「さて、一旦上がっていろんな人に連絡いれっかな」
既に親には事情を説明し、契約時の連帯責任者になってもらう書類は書いてもらっている。
俺もこっそりおっちゃんに渡された契約書類に書けるとこは書いてある。
あとは審査を通せば、すぐにでも家を持てる。
「やっば、寒すぎる……」
バスローブを身にまとい、浴室から出てリビングへ向かう。
温め忘れていたのでリビングも寒い。
急ぎ、電気とストーブを付ける。
こたつはストーブで温めているので、ストーブホースを退かし、今は占領する。
「さて、5時半だが、親から連絡いれてくか」
親には、子供作ることにしたと。
不動産のおっちゃんには都合の日に伺いたいと。
紹介されたブライダルリング専門店に来店予約。
ここはちょうど今日の午後が空いてたので捻じ込んでおく。
その他、細かいところに連絡をいれていると6時になっていた。
まだ日は昇らず、リビング以外は真っ暗だ。
しかし、寝室から物音が聞こえてきた。
穂乃果が目を覚まして、今頃着替えを探している頃だろう。
「あ、起きてたんだ?」
「ああ、いつもの癖でな」
「お仕事早いもんね?」
「ああ、とりあえずシャワー浴びて来いよ。汚しちまったからな」
「あ、う、うん……。なんか思い出すと照れちゃう……」
適当に取ったであろう、大きすぎる服。
俺の服を1枚だけ着ているのだろう。
「なぁ、風呂行く前に1回だけだめか?ムラっとしちまった」
「もぅ……、1回だけだよ?寝室いこ?」
結局1回で終わるわけないし、途中から穂乃果が積極的になり、搾り取られた。
一緒に風呂へ入り、長い間イチャイチャしてから上がった。
◇◆◇◆◇◆◇
「午後から用事できたの?」
「まぁ夕方からだから、その前に行きたいところあるんだ。穂乃果も一緒に」
「わたしも?」
「ああ、そろそろ家決めないとな」
「あ、それもそうだね……。じゃあ……」
8時くらい。
リビングで朝ごはんを食べながら、ニュースを見る。
今日は元々家でゆっくりする予定だったが、状況が一気に進展したせいでやらないといけないことが増えた。
「そのなんだ……。今言うのも違うし、雰囲気台無しだしさ。正直言いたくない……」
「う、うん……」
「でも、この話はまた後日だ。そのあとの話をしたい」
和やかな雰囲気からは一転。
張り詰めた雰囲気が辺りを漂う。
「子供を作るということは一気に話が進む。結婚だって視野にいれないといけないし、今から家の契約をしないと間に合わない。穂乃果の両親への挨拶もあるし、お金も掛かる。穂乃果がもし妊娠してしまったらやれることも限られてくる。当然大学だって通うのもきつくなる」
「大学はやめるつもり。そこは両親と話は済んでるよ。でも、やめる前に顔出しはしなさいって言われてる」
だろうな。
俺が親でも同じことを言う。
顔の知らない男のために娘の大学の中退なんて許可できないわ。
「でも、外堀は埋めとくことはできるよ。そのための1つが子作りっていうのもあるし、家を買っちゃうのだってかなり効果的だと思う。最悪、縁を切る覚悟はあるよ」
「いや、そこまではする必要ないけど……。俺も認めてもらえるように頑張るし。とりあえず、年始に挨拶いけるように調整してもらっていい?」
「わかった。両親に掛け合ってみる。朝陽君のお母さまにはいつ会いに行けばいい?」
「穂乃果の両親の挨拶が終わってからでいいか?穂乃果の覚悟が一番必要な部分でもあるからな」
結局、相手の親に挨拶するのが一番難易度が高い。
家を買うにしろ、結婚するにせよ、結局稼げてればなんとでもなる。
だが、挨拶だけは覚悟を決める必要がある。
認められなければ根気強くお願いするしかないし、無理矢理結婚したって相手の両親に気を使わないといけないのは疲れる。
「いつでも大丈夫!……ううん、嘘。……すっごく不安だよ?でも、頑張るっ」
「よし、俺も年末年始の調整しねぇとな……」
「一旦、真剣な話は終わり?」
「ああ、とりあえず方針は決まったからな。思考が回ってないってのもあるが、こんなもんだろ。必要なことはその場その場での判断だな」
頭がパンクしそうである。
仕事のこと以外で頭を使ったのは初めてである。
むしろ、仕事の時より疲れているかもしれん。
「そっか、じゃあ、必要なこと聞くね?」
「ん?」
「子供は男の子と女の子どっちがいい?前々から調べてたんだけど、食生活で性別ってある程度調整できるんだって!絶対じゃないけど食生活が結構大事らしいよ?男の子だったらお肉いっぱい食べればいいらしいし、女の子だったらサラダとか食べてると生まれやすいっていう研究結果らしい。実際、それに気を付けたら生まれてほしかった性別の子供はできたって声も多いし!」
「あ、えっと……」
「私は1人目は女の子がいいなぁ~。2人目は男の子!3人目以降は朝陽君と要相談かな?でも、朝陽君が男の子が良いっていうなら男の子でもいいよ?私は朝陽君に委ねるからね?」
身を乗り出して、ほぼゼロ距離である。
今日の朝から積極的すぎやしませんかね??
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
皆様のおかげでラブコメ日間一桁行ってました。
ありがとうございます!
彼女もいないのにインターネットの検索欄がデートプランやら、婚約指輪やらが増えて、他人に見られたら絶対に勘違いされそうです……。
彼女下さいm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます