「飼いたいのか?」

12月30日。

年明けまで残り1日。


休みに入った朝陽は穂乃果と共に2月に引っ越す予定の新築へやってきた。


三が日は朝陽の実家に穂乃果が挨拶をしに行く。

その後、初売りなどで家具を見て回る予定になっている。


「さて、やってきたな、新築マイホーム」


「おおお!私たちの家!愛の巣!」


「よく恥かしくねぇな?」


「誰も聞いてないからね!あと、防音構成でしょ?」


「まぁ近所も遠いし、防音構成にする意味あるのかわからんが、一応防音だな」


なんなら、2畳の防音室すらあるくらいだ。

なんでも、最近流行りの配信者でも暮らせる家をコンセプトにしているらしい。


最近増えたからな、配信者。

中学生でも有名配信者になってる人だっているくらいだ。


「それにしても、なにもないから広いね~」


「だな。まぁ家具とか置いて行ったらそれなりになるだろ」


「とりあえず、カーテンとかサイズ図らないとね?」


「じゃあやってくか」


それから色々なサイズを測っていく。

カーテン、浴槽、台所の幅など。


物を置く場所は大体測った。


「もう3時間だよ?」


「カーテンが多すぎるな……」


「窓大きいから余計そう思うよね~」


小窓なども含めるとかなりの数になった。

大きさがバラバラすぎて、どこがどこだか忘れてしまいそうだ。


そんなこんなで必要数も確認していたら、時間なんてあっという間に過ぎ去っていく。


「新しいベッド買う?」


「まぁ結構今のでギリギリだからな。別々で寝るか?」


「絶対だめだよ!一緒に寝るの!」


「冗談だって。穂乃果がそういうのはわかってっから……」


「もう、からかわないでよ!なんだかんだで朝陽くんが一番張り切ってベッド見てたでしょ!」


まぁ、暇なときは大体家具サイト覗いてるからな。

穂乃果が覗いてきた時がベッドを見ていた時だったりするだけだ。


「朝陽くんってペット好き?」


「犬とか猫か?」


「うん!どっち派?」


「どっちかというと犬派。でも、飼うなら猫かな~」


散歩とか躾とか大変だからな……。

それに比べれば、猫はトイレの場所さえ覚えさせれば手間はかからないと思う。


まぁ、爪とぎが問題かな?


「飼いたいのか?」


「うん。猫かわいいじゃん!でも、お金かかるし、気になっただけ……」


「そうか?よし、じゃあこの後ペットショップでも行くか?さすがに今は買えねぇけどどんな仔が欲しいのかだけ目星付けてようぜ」


正直、ペットを飼うのは賛成だ。

新築になっても俺が仕事で家に居ないほうが多い。

今までアパートだったからそんなに気にならなかっただろうが、一戸建てともなると一人だと寂しさがありそうだ。


癒し効果もありながら、寂しさも解消できるなら飼わないっていう選択肢は少なからず無くなる。

あと、俺が猫を飼ってみたい。

実家で犬を飼っていたからな。


ペットのいる生活はなんだかんだ和む。


「いいの?!やった!」


「その代わり、初回のペットフード代は穂乃果が払えよ?」


「うん!全然出すよ!貯金しておく!」


飼うとしても2月以降だしな。

近くのペットショップを検索してみる。

すると、ちょうど犬猫フェスが開催されていた。


「真冬なのに犬猫フェスやってんだな」


「一応初売りみたいな感じじゃない?新年だからペット買おうか!みたいな家族もいるかもしれないよ?」


「それもそうだな。じゃあ見に行くか」


「うん!」


各部屋の戸締りを確認して、最後に玄関を閉める。

どんよりとした曇り空が今にも雪を降らせそうだ。


「雪降るかな?」


「天気予報だと曇りだけどな」


車を走らせ、ペットショップへ。

国道沿いにある割と大きな建物。


「こんなとこにあったんだな」


「ね~。あんまり意識してなかったから全然気づかなかったよ」


車を駐車し、店内へ。

入ってすぐにゲージが所狭しと設置されており、子犬や子猫、フクロウなども鑑賞できるようになっていた。


「わぁ!かわいい!」


一番近くにいた子犬のマルチーズに穂乃果は視線を吸い寄せられていた。

駆けて近寄り、穂乃果を見てテンションを上げている子犬と見て穂乃果もテンションを上げていた。


「いらっしゃいませ!もしよかったら抱っこしてみますか?」


店員が近寄ってきて、今にも触りたそうにしている穂乃果に声をかけた。

目を輝かせ、俺のほうを向いてくる。


「いいんじゃね?落とすなよ?」


「もちろんだよ!」


店員さんから受け取る。

まだ小さいので腕の中にすっぽり納まる。


「今日はどのようなご用件で?」


「今度、戸建てに引っ越す予定なのでどうせならペットでもどうかなって思って見に来たんです」


抱っこして喜んでいる穂乃果をよそに、店員さんが俺に用件を尋ねてくる。

かくかくしかじか、説明すると、店員さんも売り時と判断したのか、俺ではなく穂乃果に声を掛け始めた。


「お探しはどういう仔でしょうか?」


「猫がいいね~って話してたんですけど、一番近くにいたこの仔が可愛くて見とれてたんです」


「なるほど。子猫なら奥のスペースに居ますが、移動なさいますか?」


「はい!ばいばい。子犬ちゃん!」


「わんっ!」


甲高い声で吠えるマルチーズに寂しげな表情の穂乃果。

店員さんが見惚れていたくらいだ。


「じゃあ、猫のほういきましょう!」


「では、ご案内します」


店員さんに案内され、子犬スペースから子猫スペースへ。

犬スペースは活発な仔が多く、ちょっと騒がしめだったのに対し、猫スペースは静かだ。

基本は丸くなって寝てる仔が多い。


「猫の種類などは把握なされてますか?」


「私はある程度把握してるけど、朝陽くんは?」


「俺はあんまり知らないかな」


「資料などで軽く説明しましょうか?」


「穂乃果が知ってるなら大丈夫です。気になる子でも選んでいいよ」


「ほんと?じゃあ見て回ってもいいですか?」


「わかりました。一応、このカタログに今日居る仔などが載ってますので、参考にどうぞ!触りたい仔が居ましたら近くの店員にお声がけください」


「ありがとうございます!」


店員さんが自分の持ち場に戻っていった。

猫にも種類が結構あるんだな~とカタログをさらっと見て思った。


「まずはスコティッシュフォールドからだよね!」


「成長しても折れてる耳が特徴なんだっけ?」


「そう!あとは甘えん坊で人懐っこい仔なんだよ!」


家で飼われている猫の中でもダントツで多い種類らしい。

でも、例外もあるらしく、成長すれば耳が立つ種類もいるとか、いないとか。


「つぎ!アメリカンショートヘアだね!」


「えーっと、この仔は好奇心旺盛だけど社交的なんだ?」


「そう!怪我とか病気になりにくいんだって!太りやすいけど!」


へぇ~。

カタログもなにも見てないのによく覚えてるもんだな……。


まったく同じことがカタログに載っている。


「次!マンチカン!」


「人懐っこく、好奇心旺盛ねぇ~」


「短足に思われてるマルチカン!でも、実際は2割程度なんだって!でも、足が短くても運動神経は抜群で聞き分けのできる仔らしいよ!」


どこでそんな知識調べてるんだよってくらいスラスラ説明している。

近くの店員さんもうんうんと頷いているくらいだ。


「じゃあラストで本命候補!ノルウェージャンフォレストキャット!」


「穏やかで我慢強い性格。初めて猫を飼うときにおすすめなんだって」


「元々、過酷な環境で生き抜いてきたから、環境の変化などのストレスに強いんだって!でも、換毛期には抜け毛がすごいから他の猫に比べると大変かも!」


他にもミヌエットやラグドールなど様々な種類がいたが割愛させてもらおう。

穂乃果は近くにいた店員さんにお願いしてノルウェージャンフォレストキャットを抱っこさせてもらっていた。


「あったかい…!」


「この種類をご検討で?」


「あ、まだ決めてる最中なんです!今すぐ飼えるわけではないので……」


それでも、穂乃果は抱っこしている子猫を離そうとせず。

立ちながらもっと詳しい特徴を店員さんから説明を聞いていた穂乃果であった。







~~~~~~~~~





個人でヨークシャーテリア(犬)を飼ってますが、家族で買ってる猫(雑種)のほうがやっぱり楽です。

雨降った日の散歩とか行きたくないですもん!


ちなみに作者は猫派です。

でも、正直馬ほしいです。




え、欲しくない?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る