「えへへ、ファーストキスだ……」
映画を見終わり、感想を話し合うためフードコートのカフェにやってきた。
一通り注文を終え、デザートが届くまで映画の話だ。
「想像してたより迫力あってびっくりした!」
「そうだな、俺も原作は知ってたが、今の映像クオリティはすげぇと思ったわ」
「でも、相変わらず設定は斬新だよね!」
「まぁ誰も想像しないわな。結局主人公がボコボコにされるなんて」
「うんうん、さすが奇想天外先生だよね!」
穂乃果も漫画バージョンを読破したらしく、どうのように動くのか楽しみだったそうだ。
内容は単純だが、俺つえーしないのがかなり面白いところだ。
結局現地人だけで無双して終わったからな。
最後のおっさんの叫び最高だったわ。
「おまたせしました、フルーツ盛り合わせパンケーキとチーズケーキです!」
「おお!フルーツいっぱい!」
「当店自慢の商品です!ごゆっくりしていってくださいね」
「はい、ありがとうございます!」
パンケーキは穂乃果、チーズケーキは俺である。
さっそくと言わんばかりに、スマホを取り出し、写真を撮り始める。
「映えだよ!」
「それはたしかに撮りごたえありそうだな」
あまりこのような場所で飲食はしないので、初めて見る盛り具合にちょっとびっくりした。
想像の2倍は盛ってあるし、これを食べるとなったら胃もたれしてしまいそうだ……。
「よし、じゃあいただきます!」
パンケーキを丁寧に切り分け、一口食べる。
「ん~、少しフルーツがすっぱいかなって思ったけど、甘い!後味もすっきりしてたべやすいよ!」
「そうなのか?」
「うん!ほら、一口あーん!」
「……あーん」
切り分けられてた一口をもらい、食べてみると、ぶどうが甘すぎず、丁度いいくらいで抑えられていた。
たしかに後味はすっきりして食べやすい。
「たしかにこれは美味いな……」
「でしょ?やっぱり秋のフルーツはおいしいよね!」
「食欲の秋っていうもんな」
「うんうん、おいしいものばっかりで困っちゃうよ……」
「どうせなら、いろんなところに食べにいくかー」
「うん!いっぱい食べに行こう!そして運動も頑張らないとっ!」
「程々にな?」
「運動は頑張らないとっ!体型維持は女子にとって永遠の課題なんだよ!」
穂乃果はスタイルがいい。
もちろん陰で努力しているだろうが、高校のときからほぼ維持できているのだろう。
ジム行ったり、ウォーキングしたりと計画を立てているらしい。
「それにしても、高校のときより細くなってない?」
「あー、仕事やってれば自然とな。筋肉がついてるからあんまり変わってない気もするが」
「筋肉!見たい!」
「あー、そのうちな?」
「うん!」
あー、これは無意識だろうな。
ちょっとドキっとしたが表にはでなかっただろう。
「とりあえず、食べちゃおうぜ?このあと軽く運動がてらモール内を見て歩くか」
「そうだね!じゃあ食べちゃおう!」
というわけで、パンケーキを頬張る穂乃果を見て待つことに。
既にチーズケーキは食べ終わってるため、只々眺めて待つ。
「あ、チーズケーキ食べ終わってるじゃん!」
「これくらいならすぐ食べ終わるわ」
「一口欲しかった!」
「じゃあ注文するか?」
「そこまではする必要ないけど……」
俺は首を傾げた。
食べたいなら注文すればいいのに……。
「もぉ、女心がわかってないなぁ……」
穂乃果が何か呟いてたが、聞こえなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
それからウィンドウショッピングを終え、日も暮れ始めたころ。
モールから移動し、一度穂乃果の家に戻って車を置き、電車で街中のレストランへやってきた。
パスタ系がメインで、軽くお酒も飲めるような場所だ。
一般的なデートスポットでもあり、上品だが、気楽に入れるような雰囲気がカップルに人気らしい。
俺らも初めてきたが、お客さんのほとんどはカップルで和気あいあいとしていた。
「おしゃれだね」
「だな。たしかにカップル向けって感じだな」
店内は落ち着いた雰囲気だが、一部カップルが写真を撮るようなスペースがあり、店員さんがシャッターを押してくれるらしい。
「写真どうする?」
「今日はいいかな~?ちょっと恥ずかしい……」
「まぁ、あれをみればな……」
一組のカップルが店員さんの前でも、キスをしながら写真を撮っている光景を見て、共感性羞恥心を覚えてしまった。
「とりあえず、受付いくか」
「そうだね!楽しみ!」
受付へ向かい、予約していたことを告げるとすぐに席へ案内された。
注文はタブレットのようで、お互い食べたいものと軽く飲むお酒を選ぶ。
俺がワインで、穂乃果がアルコール度数低めのチェリーのカクテルだ。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯!」
久々に飲むワインだが、口の中に風味が残って飲みやすい。
穂乃果も飲みやすいカクテルだったようで、満足気である。
「おいしいね」
「久々に飲んだけど、ここの結構美味い」
「じゃあ今度来たら飲んでみようかな?」
「おすすめするわ」
「楽しみ!」
と、食前酒を楽しみながらパスタが届くまで小言で雑談を続ける。
パスタが届けばほぼ無言で、お互い別のことを意識して、食事を楽しんだ。
◇◆◇◆◇◆◇
「おいしかったね!」
「ああ、美味かったわ」
パスタを食べ終え、今は手をつないで街を散策していた。
夜の街はライトで煌びやかに彩られている。
無意識だが、お互いが向かって歩いてる先はホテル街。
少しずつピンクっぽさが感じられる。
「いいのか?」
「う、うん……。そのために来たんだもん……」
「じゃあ入るぞ?」
とあるホテルの前に到着した。
お互いの意思を確認し合うが、緊張で穂乃果の握る手が強くなる。
だが、最初に一歩を進めたのは穂乃果。
俺はすぐについていき、リードするように歩みを進める。
当然ホテルに入るのは初めてだ。
お互いあたふたしながら部屋に入る。
「緊張しちゃう……」
「たしかに……」
ソファに座って、お互い緊張しているせいか、目が合ってもすぐにそらしてしまっている。
「その、朝陽君って初めて?」
「ああ、経験ないな」
「私も……」
「と、とりあえず、シャワー浴びてきたら?」
「うん、じゃあお先失礼するね?」
ぎこちなく立ち上がった穂乃果は浴室へ向かって歩いて行った。
俺は緊張をどうにかするため、スマホを触ろうとするが、思いとどまる。
「さすがにスマホ触るのはやめとくか……。とはいえ、テレビつけてもな……」
一応、テレビをつけるが当然そういうやつしか流れない。
すぐに消し、結局目を瞑ることに。
するとどうか、さっきまで気にしなかったシャワー音が聞こえてきて、再び緊張が襲ってくる。
「ふぅ……。もうちょっと冷静にならないとな……」
いまは神経を集中させる。
「朝陽君、上がったから次どうぞ……」
「おう、わかっ……た」
立ち上がり、振り向くと、恥ずかし気に佇むバスローブ姿の穂乃果がいた。
髪の毛がしめっており、妖艶さが増した穂乃果を俺は衝動で抱きしめてしまった。
「このままダメか?」
「ん……」
こくっと頷く穂乃果。
シャワーを浴びることを忘れ、ベッドへ誘導し、穂乃果と見つめあう。
お互いの顔は徐々に近づき、やがて唇と合わせた。
「ん……」
どっちの漏れた声か。
一瞬にも永遠にも思えるキスから離れ、再び見つめあう。
「えへへ、ファーストキスだ……」
「じゃあ上書きしないとな?」
「う、うん……。お手柔らかにお願いします……」
そこからの二人の出来事はみなさんのご想像にお任せします。
~~~~~~~~~
ちょっと強引だけど、書ききりました。
10話で収めたかったので本当に強引だけど。
とりあえず、タイトル回収含め、第一章が終わった感じですね。
予定通り、コメディ寄りで数話ほど進めていこうと思います。
そしたら第二章は同棲編でも始めましょうかね……。
というわけで、ここまでお読みいただきありがとうございます!
これからも引き続き毎日投稿を心掛けていくので応援のほどよろしくお願いします!
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