第99話 「失意の父・・」

「アブラハ族レビとユダよ!

あなたがたが作物に買いに来た目的を聞かせて下さい。」


「それは今世界中を苦しめている未曾有の大飢饉により一族に食べる物がなく、年老いた父や幼子たちが日に日痩せてきており・・・命の危機に瀕しているからです!」


「つまりあなたがたは、家族を大切にされている!という事ですね。

お父上は、ご存命なのですね?お元気にされていますか?」


「あなたのしもべであるアブラハ族の長ヤゴンは、齢80歳になりますが、感謝な事に元気に生かされています!しかし10年前より、気力が弱まり・・生きる事に前向きでなくなりました・・」


「一体何があったのですか?」

セツラは、胸が締め付けられる思いで・・兄であるレビとユダに平静に訊ねた。


「10年前に私達の妹が居なくなったからです・・・父は愛する我が娘を失った事により、失意のどん底にいました・・食べる事も望まず・・ただ死を待つような日々を送っていました・・・しかし妹が死んだ事を受け入れらず・・必ずいつか会える日が来る!とずっと待ち望んでいるのです。」


セツラは、父の失意の状況を聞き、、激しい動揺を感じた・・そして心から会いたい!と願った。

<あなたがたの妹セツラは、ここにいます!早く父に会いたい!私が生きている事を直接伝え、父を抱擁し、慰めてあげたい!!>



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