第9話 「右大臣ペルトリカ」
先の王の晩餐会で毒が盛られた事件において、王宮内の臣下達を震撼させ、恐れさせていた・・王のワインに毒を盛った疑いのある者が、すぐに捕らえられ侍従長ポティファルの牢獄に監禁される事になり、今日がその3日目であった。
パロ王は宮廷内に、最も信用をおく右大臣ペルトリカに
毒盛り事件の調査を極秘に命じていた。
「右大臣ペルトリカよ!
先の毒盛り事件の主犯格が判明した、というのは本当か?」
「左様でございます。容疑者として捕らえられた献酌官長と調理官長の身辺を調査したところ主犯格は調理官長で間違いございません!」
「やはり・・奴か!
しかし何故?王である我に悪意を向けたのだ?」
「それは・・先のガイア王国との国境付近で起きた紛争が原因と思われます。」
「ガイア王国は、パロ王の先代の時代より国交を結ぶ友好国でありますが、先の紛争の故に、両国の商人が往来できなくなり、デルタ市街地の商人が大損害を受けたと報告がありました。」
「調理官長は、デルタ市街地において、幾つも大商店を営むと聞くが・・それだけで王に叛旗を翻すとは、思えないが・・確かな情報なのか?」
「詳しい事は・・まだ判明できておりませんが、献酌官長が無実である事は間違いございません。献酌官長は解放し、調理官長は処罰すべきです。
それから・・少し気になる報告がございます!」
「気になる報告とは何だ?」
「夢見の一族が現われた・・との事。」
「夢見の一族だと?確かなのか?」
「実は、献酌官長と調理官長の夢を解き明かそうとした者がおり、その者が夢見の一族の可能性があるとの事。彼が言うには、献酌官長がシロで調理官長がクロだと断言しており、腹を立てた調理官長騒ぎを起こしたとの事。しかしこの事実を知る者は、私と配下の諜報員のみであり、夢見の者が事実を知る筈がございません!」
「そうか・・それは実に面白い!
つまりその者が、私が見た夢を解き明かせる可能性がある!という事ではないか!?すぐに夢見の一族の者を連れて参れ!直に会い、夢見の力の真偽を確かめてみようではないか!!」
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