第6話 「調理官長の夢」
「セツラと言ったな?
お前の献酌官長の夢解き・・
見事な夢の解釈であった!!
実は・・私が見た夢は
献酌官長が見た夢と酷似していたのだ!何故?昨晩、この牢獄にいる者が、同一の夢を見る事になったのか・・実に不可思議だ・・」
「調理官長様が見られた夢は献酌官長様と同じ夢だったのですか?」
<そのような訳はない・・なぜなら王のワインに毒を盛り・毒殺を図ろうとしたのは調理官長、あなただ!!>
セツラには、調理官長の夢の内容が酷似している事を知っていたが、ふたりの結末は、全く違うものである事を理解していた。
◆
調理官長の夢は次の内容であった
「夢の中で、見ると、調理官長の頭の上に
枝編みのかごが3つあった。一番上のかごには、
パロ王のために調理官が作ったあらゆる食べ物が入っていたが、鳥が調理官長の頭の上のかごの中から、それを食べてしまった。」
セツラは言った。
「調理官長様!
あなたの夢の解き明かしはこうです。
3日のうちに、パロ王はあなたを呼び出し、あなたを木につるし、鳥があなたの肉をむしり取って食べてしまうでしょう!」
「何だと?儂が3日後に
処刑されるというのか?ふざけるな!!」
セツラは、さらに力強く語った。
「調理官長様!
パロ王のワインに毒を盛った者として
献酌官長様と調理官長様、おふたりに疑いがかけられていました。
パロ王は、おふたりの身辺の調査が詳しくされ
毒殺を図ろうとした反逆者を見つけようとされているのです。」
「ふざけるな!小童が!!!」
調理官長はいきり立つと、セツラの胸倉を掴むと首をきつく締め上げた。
「辞めて下さい!!苦しい・・」
セツラは息が出来ず、苦しみ悶えた・・
献酌官長は調理官長を止めに入ったが
調理官長は剛腕であり、献酌官長がセツラを庇い
自身に疑いの目が向けられている事を悟り、怒りが収まらず、献酌官長を突き飛ばすと、牢の中で大声で喚き散らした。騒ぎに気付いた侍従の兵士達が止めに入った
「またお前か?セツラ!災いの子よ!
献酌官長は調理官長の世話役の務めがあるにも関わらず、混乱を招くとは!許しがたい!」
「侍従長様!
私は、悪事は働いておりません!信じて下さい!!」
しかし・・・セツラの言い分は通らなかった
セツラは、7回の鞭の刑を受け、背中は赤く腫れあがり
痛みの為、3日間、身動きがとれない状態となった
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