第6話 「調理官長の夢」

「セツラと言ったな?

お前の献酌官長の夢解き・・

見事な夢の解釈であった!!


実は・・私が見た夢は 

献酌官長が見た夢と酷似していたのだ!何故?昨晩、この牢獄にいる者が、同一の夢を見る事になったのか・・実に不可思議だ・・」


「調理官長様が見られた夢は献酌官長様と同じ夢だったのですか?」

<そのような訳はない・・なぜなら王のワインに毒を盛り・毒殺を図ろうとしたのは調理官長、あなただ!!>


セツラには、調理官長の夢の内容が酷似している事を知っていたが、ふたりの結末は、全く違うものである事を理解していた。



調理官長の夢は次の内容であった

「夢の中で、見ると、調理官長の頭の上に

枝編みのかごが3つあった。一番上のかごには、

パロ王のために調理官が作ったあらゆる食べ物が入っていたが、鳥が調理官長の頭の上のかごの中から、それを食べてしまった。」


セツラは言った。

「調理官長様!

あなたの夢の解き明かしはこうです。

3日のうちに、パロ王はあなたを呼び出し、あなたを木につるし、鳥があなたの肉をむしり取って食べてしまうでしょう!」


「何だと?儂が3日後に

処刑されるというのか?ふざけるな!!」


セツラは、さらに力強く語った。

「調理官長様!

パロ王のワインに毒を盛った者として

献酌官長様と調理官長様、おふたりに疑いがかけられていました。

パロ王は、おふたりの身辺の調査が詳しくされ

毒殺を図ろうとした反逆者を見つけようとされているのです。」


「ふざけるな!小童が!!!」

調理官長はいきり立つと、セツラの胸倉を掴むと首をきつく締め上げた。


「辞めて下さい!!苦しい・・」

セツラは息が出来ず、苦しみ悶えた・・

献酌官長は調理官長を止めに入ったが

調理官長は剛腕であり、献酌官長がセツラを庇い

自身に疑いの目が向けられている事を悟り、怒りが収まらず、献酌官長を突き飛ばすと、牢の中で大声で喚き散らした。騒ぎに気付いた侍従の兵士達が止めに入った


「またお前か?セツラ!災いの子よ!

献酌官長は調理官長の世話役の務めがあるにも関わらず、混乱を招くとは!許しがたい!」


「侍従長様!

私は、悪事は働いておりません!信じて下さい!!」


しかし・・・セツラの言い分は通らなかった

セツラは、7回の鞭の刑を受け、背中は赤く腫れあがり

痛みの為、3日間、身動きがとれない状態となった

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