第7話 「侍従長の妻の罠」
「旦那様!
奴隷の身でありながら・・セツラは再び悪事を働いたというのは本当ですか?」
侍従長ポティファルの妻アダは、興味津々に問いかけてきた
実は、セツラが牢に入れられるまで
侍従長の家の執事であった。元々奴隷の身分であり、イシュマエル人の商人から1年前に買い取られていたのである。
セツラは美少年であり
人柄がよく、礼儀作法が身に付いており言葉遣いが丁寧で、とても利口で器用であり、有能である事は、誰の目にも明らかであった。
その為、僅か1年で、奴隷の身分は解消され、主人の財産の管理を任されるようになったのである。
しかし1か月前、セツラを貶める事件が発生していた
◆
ポティファルの妻アダは、セツラに目をつけており、とても親切にしてあげていた。
妻アダには下心があり、美男子であるセツラに好意を抱き
「私と寝ておくれ!」と誘惑するようになり、セツラを大変困らせていた・・
実は、ポティファルの妻アダの悪い噂は
家の者全員の知るところであり、これまで多くの家人が誘惑を受け
主人の恨みを買い、重い処罰を受けた者がおり、中には命を奪われる者もいた。
ポティファルは妻アダを愛しており、彼女の言葉を信じており、嘘が隠れている事を疑いもしなかった。
◆
ある日のこと、セツラが仕事をしようとして家に入ると、家の中は誰もそこにいなかった。ポティファルの妻アダがそのように仕組んだのであった。
妻アダは、セツラの上着をつかんで、言った。
「私と寝ておくれ」
しかしセツラはその上着を奪われ、外へ逃げてしまった。
「セツラめ!
私の誘いを何度も拒むとは、良い度胸ではないか!
私を受け入れないような者は、この家には必要ない!
奴が私を誘惑して、体を求めてきた!と夫に訴えてやる!
夫は私を信用しているから、きっとセツラを裁いてくれるだろう!!」
妻アダは、夫に告げて言った。
「あなたが私達のところに連れてこられた奴隷セツラは
主人の好意を受け、執事としての身分が与えられた事を良い事に
傲慢にも、許されない裏切り行為をしました!!」
「アダよ!セツラ執事は何をしたのだ?」
「聞いて下さい!!!
・・・・・・・・・・・
しかしこのような事は・・私の口からは・・言えません・・・
あの者に聞いて下さい!!!」
「良いから!言うのだ!」
ポティファルは怒りに燃えて叫んだ!
「あの者は・・私が私が昼寝をしている部屋に入り込み
私にいたずらをしようとしたのです!この上着が証拠です!!」
「何という事を!!!
セツラめ!私が目をかけて奴隷という身分を解消し、執事にまで取り立てた恩を仇でかえすとは!許される事ではない!!即刻、あの者を捕えよ!!!」
セツラは捕えられ、牢に入れられてしまったのである。
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