第20話 「神官長セツラ即位」
「右大臣ペルトリカ様!
どうかパロ王様のご命令を取り下げるように進言してください!」
「それは・・無理な願いだ・・・
いえ・・・無理な願いでございます!セツラ神官長様」
「ペルトリカ様!
どうして私にセツラ様などと・・敬語を?」
「セツラ様!
あなたは、もはや奴隷の身分ではございません!
パロ王様の夢を解き明かした功績が認められ
デルタ王国に新たに新設された神官府の長として即位されました!
もはや・・右大臣の私よりも遥かな高位の立場であり
パロ王様の次の位に座しておられるのです!
どうかご自身の立場をご自覚下さいませ!!
デルタ王国において
セツラ様に対して、不敬な態度を取る者がいたならば
即刻、捕えられ、王都裁判において打ち首の刑に処せられると
先程、宦官長ラルクが、デルタ王国全土に王の刻印を印した文を布告しております!
この国においてセツラ様の名は知らぬ者はおりませぬ。」
「なぜそこまで・・私はただ・・起源の主より授かった
神の言葉を、そのままお伝えしただけなのに・・・・・」
「セツラ神官長様!
それがどれ程、デルタ王国にとって大いなる発展を示す道しるべとなり
王国の利益になるかを!ご判断下さい!
今回、セツラ神官長様が、ただの夢の解き明かしだけであれば、パロ王様は、ここまで異例の人事を告知されなかったでしょう!あなた様が語られた夢の続きは、圧巻でした!デルタ王国の国土10倍の広がり、国権の大いなる発展を告げられたではありませんか?」
「その話は、パロ王様と右大臣ペルトリカ様にだけにお伝えした
アブラハ一族に伝わる300年前の預言をお伝えしたに・・過ぎないのに・・なぜ?信じて下さったのですか?」
◆
セツラは、パロ王の夢の解き明かしをした後
さらに預言の言葉を伝えていた・・
<デルタの泉は、湧き上がる泉
7年間の豊作の後に、7年間の大災害が起こるが
恐れる必要はない!強くあれ!雄々しくあれ!
恐れてはならない!慄いてはならない!
世界を震撼させる大災害は、デルタの王権を強固にし
7つの大陸の王国をひとつにまとめ、人々が四方から集まり
アブラハの末裔にすべての力が集結する時、起源の主なるお方を崇め!救いと奇跡の御業がなされるであろう!>
「この預言書の言葉と同一の文章が、初代デルタ王の年代記より、歴代の王だけが閲覧をゆるされる古文書に記され、300年間語り継がれていたのであります!」
セツラは、デルタ王国の古文書の伝記を聞き、自身がなすべき大いなる行路の発展を悟り、震え慄き、起源の主を崇めるのであった。
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