第45話 「セツラの秘策」

「リエラ執事!

あなたも知っての通り、私はこれから7年間の大豊作の期間にデルタ王国を大いに発展させなければなりません!その為に、神官府から指令を出し、各地に役人を派遣し、農業革命と産業の発展に尽力してきました。しかしまだまだ成すべき事が多くある!と痛感しています。なぜなら・・国が豊かになっても市街地の犯罪は減らず、王都に不満を持つ人々が多数いるからです・・一体何が足りないのか?調査を進めていますが、問題解明には至っていない。私は、今なお奴隷の身分として苦しめられている人たちを助けたい!奴隷達への偏見、身勝手な振る舞いを、取り締まりを強化したいのです!そしてデルタ王国の一部の貴族だけが私欲を肥やすのではなく、全ての国民が平等に、生きる権利を自らの力で、勝ち取る事ができるような社会にしたい!と心から願っています。」


「セツラ神官長様!

素晴らしいお考えだと思います。2年前にパロ王様がデルタ王国の政治の要となる神官府を創設され、セツラ神官府庁様が就任されてから、奴隷制度の廃止、物流制度の見直し、全ての職業機関に対して、世襲制ではなく、神官府認可の新たな教育機関を無償で教育を受けられる制度は、後世に残る偉業であり、セツラ神官長様でなければ、成しえなかった事であると思います!私だけでなく、多くの国民が同じように感じている筈です!」


「ありがとう!リエラ執事・・しかし・・まだまだです。

私は、自分に力があると思ってはいません・・全ては起源の主から与えられる

知恵と力によって、新たな志が示され、行使しているに過ぎない。もし私が・・自らの地位を確立し、多くの財産を求め、私自身の欲望によって生きる事を求めたなら、起源の主は、私を見放し、ただの人として何の力も行使できなかったと言えます。私は、まだ奴隷の身分であった泥臭さの味が身に付いているのです。

 

神官府長という立場上、生活水準があまりにも高くなり過ぎ、私は自分が自分ではないように、勘違いしてしまうようです・・だからデルタ王国からの毎月の報酬額が多すぎて・・私は、まだ手をつけていない・・自分のものでないように思ってしまうから・・だけど私への報酬は正当な者である!と王都議会でも認められるようになり、私の考えは変わりつつあります。そしてある事を決心したのです!

その新たなビジョンを現実のものとする為に、どうしても市街地へ行く必要があります!神官長という身分を隠して、定期的に市街地へ出かけ、市民の人たちの生活に直に触れ合いたい!と心から願っているのです!」


「セツラ神官長様!身分を隠して出かけるなど・・叔父である右大臣ペルトリカが知ったら、大反対するのでは?」


「分かっています!

だから執事であるリエラあなたの妹として

市街地へ今から行きますよ!準備してください!」


「えっ?今からですか?」

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