第44話 「リエラ執事との相談」

「ねぇ!リエラ執事!

あなたに相談したい事があるのだけど・・

聞いてくれるかしら?」


「セツラ神官長様!

なんなりとお申し付け下さい!」


「ふたりだけで話したいから、メイド達を下がらせて

あなただけで私の部屋へ来てくれる?」


「承知致しました。」


<セツラは、先程、神官府の側近たちに市街地へ行きたい思いを伝えたが、危険だから、と反対されてしまい、神官長の立場のままでは、自由な行動ができない、と感じていた>


「リエラ執事!

確かあなたは、右大臣ペルトリカの姉の子であり

デルタ王国の上級貴族だったわよね?」


「はい。右大臣ペルトリカより

セツラ神官長にお仕えして、もうじき1年になります!」


「もう1年もなるのね・・時間が経つのは早いわね・・

あなたは、執事として有能であり、わたしにはもったいない人だわ!

いつも本当にありがとう。感謝しているわ!

でも1年前、叔父である右大臣ペルトリカに私の執事になる事を命じられた時、元奴隷である私の執事なんて・・嫌ではなかった?」


「何をおっしゃるのですか?

セツラ神官長様は、夢見の一族の救世主なるお方

パロ王様の夢を解き明かし、名実ともデルタ王国の第2の権力者を得られた

もっとも誉ある地位ある神官長様ではございませんか?

上級貴族の身分など・・あなた様の前では、塵に等しい存在です・・


セツラ神官長様の為なら

命にかえてお仕えして参ります!

それに叔父右大臣ペルトリカの命があるからではなく、私がお仕えしたいのです!それが私の本心であります!」


「ありがとう!

あなたが真心こめて、忠誠を誓ってくれている事は分かっているわ!

とても頼もしくあり、友情に近いものを感じています!」


「セツラ神官長様!

もったいないお言葉です!


それよりも・・

人払いをしてまで、私に頼みたい事とは、一体どのような事ですか?」


「リエラは年は幾つ?」


「20歳になった所です。」


「私の兄と同じ年ね・・

確か・・ユダ兄さんは、昨日が誕生日だった筈・・」


「セツラ神官長様のお兄様・・確か

カナンの地におられ・・少し複雑な事情があると

叔父である右大臣ペルトリカから聞いております・・

一体何があったのですか?」


「詳しい事は・・言えないけれど

私は、カナンに住む兄達と離れ離れになり・少し寂しい気持ちがあります!

いつか再会して、お互いのワダカマリを解消し、和解できる日を心から願っているわ!その準備の為に・・リエラにお願いしたい事があるの!」


「何なりとお申し付け下さい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る