第14話 「夢の解き明かし期限迫る」

「呪法師の長サイカよ!

今晩が夢の解き明かしの期限である!備えは万全であるか?」


「パロ王よ!永遠に生きられますように!

我らデルタ王国の臣下、あなた様の夢を解き明かす為に、断食を布告し、呪法師の力を尽くして、王の夢を解釈できるように、万全なる備えをして参りました!」


「よかろう!期待しておるぞ!

ではこれより羊皮紙に夢の内容を書かせ提出させよ!我が内容を読み、我の夢と合致する者のみを選び!王都議会に立たせ、直接、夢の解き明かしを聞く事とする!」


「・・・・・・・・・・

パロ王よ!やはり・・・

夢の内容を事前に伺う事はできませんか?

正直に申し上げますが・・内容を聞かずして、夢の解き明かす事は・・・難解でございます。」


「呪法師の長サイカよ!

貴様の弁明なだど・・聞きたくはないわ!!

ではなぜ?献酌官長と調理官長の夢を見事、解き明かせた者がいるのだ?」


<それは・・・偶然でありましょう・・>

サイカは何度も心の中で反芻していた・・できる訳がないと・・


「もうよい!さぁ!皆に伝えよ!王命である!

我の夢の内容を羊皮紙に書かせるのだ!

我は信じている!必ず夢の内容を解き明かし、デルタ王国の未来に活路を見出せる者が現われる事を!!!



こうして選ばれた300人の者が、パロ王の夢の内容とその解釈を書き記し、王都議会に提出をおこなった。そしてパロ王が事前に、夢の内容について、定められたキーワードが記された者のみが選ばれ、最終選考に進む事ができるのである。

 呪法師達は、精神を研ぎ澄まし、命がけの解き明かしに挑んだ!これまでデルタ王国において、夢を聞き、内容を吟味して、解き明かす事が主流であったが、パロ王からは夢の内容が語られる事がなく、「一体誰が解き明かす事ができようか!」と皆が思っていた。

「パロ王は最初から我ら呪法師達を滅ぼす為に、このような命令を下されたのだ!」と恨み節を語り、悲壮感が漂っているのであった。しかしそのような中、夢見の一族セツラだけは、偉大なる起源の主からの「語らい」を信じ、夢の中で語られた内容を詳細に書き記す事に成功していた。

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