第13話 「右大臣ペルトリカの正体」
「右大臣ペルトリカ様!
夢見の一族セツラが参りました!」
セツラは、右大臣ペルトリカの執務室に通された
「お前が夢見の一族セツラか?」
「ペルトリカ様!お初にお目にかかります。
そして・・私をポティファル様の牢からお救い下さり、感謝致します!
しかし・・どうして私が・・夢見の一族である事をご存知なのですか?」
「それは・・・私も夢見の一族の末裔であるからだ!
しかし純粋たる血を継承した訳ではなく・・私の祖先はデルタ王国の民との混血民である。それ故、夢見の一族同士は、側にいるだけで感じるものがあるのだ。セツラお前もこのデルタ王国に来てから、同族の影を感じていたのではないか?」
「・・・・・・・・確かに・・おっしゃる通りです!
しかし私はアブラハ一族の者ですが、決して力ある者ではなく、母違いの12兄弟の末子であり・・もうお分かりだと思いますが、私は男ではなく、女の身であります・・それが何を意味しているのか?ペルトリカ様ならご存知の筈です!!女という身であるだけで・・軽んじられ、蔑まれ、兄弟の中でも奴隷のような扱いを受ける時代であります・・実際、私も兄達に売られて・・デルタ王国に来たのですから・・」
「セツラよ!お前が男装していたのは、迫害を恐れての事なのだな?」
「その通りです。私は奴隷の身分でありましたが、男性として生きる道を選んだ事により、一時ですが、ポティファル様の執事にまで、身分を回復する事が出来ました。
デルタ王国は素晴らしい国ですね!底辺の身分であっても実力主義であり、力ある者と認められ、取り立ててもらえるのですから!」
「セツラよ!お前は思い違いをしているぞ!この国の男尊女卑は、パロ王の命令により、廃止されており、女性の立場は男性と同じであるのだ!」
<しかし・・・それも表向きではあるがな・・>
「そうなのですか?
男女平等である事をもう少し理解していたら、男装などせず、堂々と女性として生きる道を選びたかったです!身分を隠した行動により、ポティファル様の奥様の誘惑を受け、私はご主人様の信頼を失ってしまったのですから・・女である私が、どうして奥様と関係を結ぶ事ができましょうか!」
「その通りだ!しかしその点については、もう心配はいらない!
私が手を回して、誤解は解かれ、デルタ法によって、正しい判決が下されるであろう。セツラよ!お前は、自由の身になったのだ!」
「本当ですか?それが事実であるなら、何と素晴らしい事でしょうか?
私は、国に帰れるのですか?」
「いや・・それはまだ・・無理であろう」
「何故ですか?」
「パロ王の夢を解き明かしの王命を知っているだろう?
この国の呪法師と知恵ある者は、日夜夢の解き明かしの為に、翻弄されているのだから・・このままでは彼等は、滅ぼされてしまうであろう。
勿論夢見の一族である私もお前も同様の運命を辿る事になるであろう!」
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