『夢見の一族』

AOI

第1話 『パロ王の夢』

「恐ろしい・・何だ!この悪夢は!?

禍々しい害毒の渦が 私の周りに迫ってきている・・

危険だ!!非常に危険だ!!

このままで・・全てが飲み込まれてしまい・・我が国は崩壊してしまうだろう・・

しかし何者かが・・我を救わんと・・

夢見の中で・・語り掛けているように思う・・


一体誰が!?」



≪ユーフラス川岸に

とても肥えた牛が 7匹草を食べている・

非常に勢いよく 食べても食べても

草は無くならず・・ついに牛は食べる事が飽いているように見える・

目つきは 虚ろであり・・草を食べた事での満足感は 得られていないようだ・・

何だ!あの傲慢な牛めが!!!


やがて・・・7匹の牛に対して

対照的な 痩せた牛が 川岸を渡ってきた・

先程まで 流れの早い川だった筈が

激しい日照りが川を枯らし・もはや水は残されていなかった・・


何という事だ!!

7匹の痩せた牛が・・川に草が残っていない事に腹を立て!

地面を踏み鳴らし 地団駄している!


そして草食動物の牛が、まるで獣の主のように

鋭い牙を尖らせ!肥えた牛に目がけて

突進してくるではないか!!!


痩せた牛に体当たりされた肥えた牛は

痛み苦しみ・・灼熱の太陽の熱に悶え

口から泡を出し 気絶してしまった・・


痩せた牛は、飢えた野獣のごとく襲い掛かり!肥えた牛の放漫な肉体は・・

血を吹き出し・・肉が削られ・

ついに骨々しか 残されていなかった・・


しかも 骨はもろく・・強い北風に吹かれた時に

もみ殻のように 吹き飛ばされ

乾いた土地に何も残されていない・・


この夢は ただ事ではない!

我がデルタ王国において

大災害が起ころうとしているのではないか?


すぐに呪法師を招集し

自然界の予見ができる

力ある者を 召し仕えさせなければ

デルタ王国は 崩壊するであろう!!


≪300年前のように・・≫




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