第92話 「偽りの証言を禁じる」

「バレてしまっては仕方がない・・

我々は、ギルデロイ王都商人組合である!

先程購入した農作物では、到底足りない!もう少し融通しては貰えないだろうか?」


「あなたがたが身分を正直に明かした、その姿勢は評価しましょう!

しかし我々リエラ商会が知りたいのは、あなたがたは、誰の為に農作物を購入しようとしているのですか?という事です。」


「それは・・・」


「あなたがたを雇っている貴族達の為ですか?

それともセツラ王国に買いに来る事のできない一般市民の為ですか?

もし食べ物が無く、困窮する一般市民の為に購入し、彼等に無償で提供するのなら、我々もあなたがたに無償で提供しましょう。

しかしセツラ王国は誰が支配しているか?お忘れのようなので、はっきり申し上げますが・・セツラ皇帝は、偽善者を嫌います!そして偽りの証言による不当な商いを決して許しません!その上でもう一度あなたがたに問います!

あなたがたが購入した農作物を転売したり、私利私欲の為に用いる為なら、先程売った農作物を返却してもらいます!そして今後セツラ王国への入国を禁じます!良いですね!!」


「・・・・・・・・・・分かった。

無理を言ってしまい・・申し訳なかった。

先程売って貰った作物で十分だ!

助かった。ありがとう!!」


ギルデロイ王都の商人たちは

私利私欲の為に、転売目的で作物を購入しよう、とした魂胆がバレている事に恐れを感じ、今後の関係性を壊したくないので、諦めて帰途につくのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る