第72話 「レビ、カナンの地に帰る」
「リエラ商会!不思議な人たちだったが・・
この第3都市セツラは、私が想像していた都市・・いやもはや国と言えるだろう。
来る前は、奴隷解放によって自由になった者達の寄せ集めだった思っていたが、とんでもない勘違いをしていたようだ・・人々の意識は高く、地に足をついて生きている!人々の間に差別のようなものはないようだが・・働かない、いい加減な者に対する姿勢は厳しくあり、道を外れてしまう者に対して、生きづらい世界なのかもしれない・・
カナンの地に住む我らアブラハ族とは、どこか生き方が似ているように思うのは、気のせいだろうか・・アブラハ族は、カナンの地だけではなく、全世界に同族がいると聞くが・・各国の建国に関わり、一時代を築いた有能な者達、特に夢見の一族と言われる特別な力を持つ者がいたという。起源の主から愛されている者に、未来を切り開く力が与えられる!と聞くが・・まさかな・・・少なくとも妹を奴隷として売り飛ばすような我らの中からは、夢見の力が備わる事はないだろうが・・。
もしセツラが生きていたのなら、可能性として夢見の力を持つ可能性があるのは、セツラ位だろう!彼女が幼き時、何度も不思議な夢を見ていた!当時は、馬鹿らしい夢だと嘲笑っていたが・・今思ば・・未来を予測して我らに語っていたのかもしれない・・それは考えすぎかもしれないが・・とくにかく第3都市セツラでの危機から逃れられたが・・これから起こる7年間の大飢饉に備える事の大切さを教えられたような気がする・・あと2年しかない!時間がないのだ!早急にカナンの地に戻り、出来る限りの備えをしよう!そして一族に危機迫る状況が生じた時、今一度この地を訪れよう。この地においてセツラの所在は確認できなかったが・・セツラを不思議と感じられるのが、何故だろうか・・
とにかく!これから彼女の生存の為に祈り続けていく事にしよう!起源の主なる神が、セツラを助けて下さるに違いないから!」
こうしてアブラハ族レビは、カナンの地に到着し、自らが見聞きした世界の情勢を父ヤゴンと兄弟達に伝え、食糧の確保を急務として使命が伝えられた。
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