第52話 「アニーの提案①」
第二回定例会議
「前回リエラ商会のラックが提案したデルタ際は大盛況であった。デルタ王国の繁栄が他国にも知れ渡り、非常に好評で他国からの移住を求める人たちが、殺到したらしい!それ程の魅力を感じられる取り組みは、デルタ王国建国以来と言えるだろう!全てが新鮮であり、燃えるような勇ましさ、人々の感動を味わったような気がする・・是非、今後も続けていきたい!しかし同じような商業大会をしたところで、同じ事の繰り返しでは、いつか飽きが来ることは明白。常に時代の移り変わりを察知し、人々の興味をリサーチし、こちらから新たな話題提供をしていきたいものだ!」
さぁ!今日は、三か月一度の定例会議がなされるが、今回は、リエラ商会アニーという少女が何か、新たな取り組みを提案してくるそうだが、一体何が飛び出してくるが・・非常に楽しみである!」
商業組合のリエラ商会への評価が非常に高く、組合員も増員され、市街地の9割を超すメンバーが、デルタ祭を開催したコロシアムに集まり、5つのルールの2つ目である新たなテーマに期待が寄せられていた!
◆
「私は、リエラ商会アニーと申します。
今回、前回の定例会の規模を大きく上回る参加者が集まり、第二回目の定例会が開催できる事を大変うれしく思っております。
私が今回提案させて頂く議題は、新たな労働力の確保についてです!
前回のデルタ祭は大盛況に終わりましたが、あまりにも多忙であり、十分な準備ができない中、勢いで全てのプログラムが行われたような印象があり、これから他国と国交が広げられる中で、もっと質の高い組織運営が求められる事は否めません。そこで皆さんに提案したい議題は、新たな人材確保、人材育成についてです。
ご存知のようにデルタ王国の全人口の1割が貴族、4割が一般市民、残り5割が奴隷の身分の者達であり、貧民層の生活水準の低さは、目を覆いたくなる程の貧しい状況であります。今後5割の貧民層の者達をどのように扱うかが、デルタ王国の品格品位に関わる事であり、神官府の最重要政策として、法律の改正が進められているところです。いくら国の法律が改正されても、それを理解し、貧民層に向き合う一般市民と貴族達の倫理観が改まらないと何の解決にもならない事を御理解ください!
2年前に奴隷解放令が発布され、表向きは、奴隷の者は存在しない事になっています。しかし彼等貧民層への扱いは、以前と変わらず、貧民層の住人の奴隷感情が根強く残っている事が現状です。
そこで貧民層の人たちをあなたがた商人組合で雇い入れる事を義務付ける事とします。」
「何だって!?それは出来ない相談だ!!」
会場となったコロシアムは罵倒が起き、騒然となる状況であった
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