第17話 「夢見の一族セツラの解き明かし」

「さぁ!夢見の一族セツラよ!

お前の番である!我が見た夢の後半と

夢の解き明かしを大胆に語るが良い!」

<我は、最初からお前が、神から遣わされた器である事を知らされていた・・

夢を解き明かせるのは、夢見の一族のみであり!

デルタ王国に迫る大災害から救い出せる力がある事を!>



「パロ王様!

永遠に生きられますように!

私のような奴隷の身分に等しい小さき器を

御前に立たせていただける事を、感謝申し上げます!

私の見たパロ王の夢は次の内容です。


≪ユーフラス川岸に

とても肥えた牛が7匹草を食べていました

非常に勢いよく、食べても食べても、草は無くならず・・ついに牛は食べる事が飽いているように見えます・・目つきは 虚ろであり・・草を食べた事での満足感は 得られていないようでした・・


やがて・・・7匹の痩せた牛がユーフラス川岸を渡ってきました

先程まで 流れの早い川だった筈が激しい日照りが川を枯らしていた為、痩せた牛たちは容易に渡る事ができました


痩せた牛の出現によって川岸の草が瞬くまに食べ尽くされてしまい

肥えた牛たちは腹を立て、地面を踏み鳴らし地団駄していました


やがて痩せている牛達が、獣の主のように

鋭い牙を尖らせ!肥えた牛に目がけて突進してくるではありませんか!!!


痩せた牛に体当たりされた肥えた牛は、痛み苦しみ・・灼熱の太陽の熱に悶え

口から泡を出し、気絶してしまいました


痩せた牛は、飢えた野獣のごとく襲い掛かり!肥えた牛の放漫な肉体は・・

血を吹き出し・・肉が削られ・ついに骨々しか 残されませんでした


しかも骨はもろく・・強い北風に吹かれた為もみ殻のように 吹き飛ばされ

乾いた土地に何も残されていないのです!>



「これ程までに詳細な内容の夢を

本当に解き明かしたというのか?」

呪術師の長サイカは驚愕し、唖然としていた・・



「見事な夢の解き明かしだ!!夢見の一族セツラよ!

ここまではっきりと私の夢の内容を解き明かせるとは

まるで夢の中の情景が、目の前で行われているように感じ、恐怖を覚える程であるぞ!!!!」


「パロ王様!

私に力がある訳ではございません!

起源の主なるお方が、お語りになり、これからデルタ王国において

神がなさろうとすることをパロ王に示されたのです!!」


「起源の主なる神が語られたというのか!?」

パロ王を囲み、セツラの夢の解き明かしを聞いていた

右大臣ペルトリカ、左大臣ルキオス、宦官長ラルクは酷く驚き

呪法師の長サイカは、人智を遥かに超えた力の存在を知り、恐れ慄き、その場で伏し倒れてしまった・・・

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