第68話 「セツラの思惑」
「宦官長ラルクよ!
あなたにお願いしたい事があります!」
「神官長セツラ様!
何なりと、お申し付け下さい!」
セツラの真剣な眼差しに、事の重大さをラルクは感じていた。
「あなたは、私がカナンの地アブラハ族より、奴隷として売られてきた事を知る、数少ない人間です。そしてリエラ商会も、私の計画を成就する為の大切な組織。神官府だけでは、なしえなかった実質的な経済の発展が行われました!
いまや第3の都市セツラの存在はデルタ王国とアーサー国両国を凌ぐほどの存在です。しかしまだまだ不十分です!
これから7年間の大飢饉において、近隣諸国を救済できる力までは、持ててはいない。さらに私の生まれ故郷であるカナンの地域に住む父ヤゴンとその一族を救わなければならない!この第3都市セツラへ、救済を求めてくれないと意味がないのです!私の言っている事を理解できますか?」
「さらなる発展が必要という事ですね?」
「その通りです!
これから第3都市を知らぬ国はない程、知名度を高くしなければなりません!」
「まだなすべき事が残っている、という事でしょうか?」
「その通りです!
私は夢見の一族セツラです!パロ王様の夢を解き明かし、分不相応ながら、神官長という立場が与えられましたが、私の使命は、時代の流れを正確に見極め、最善なる道を指し示す事です!
つまりこの世界の全ての国々の中には、私を奴隷に売った兄達も含まれます・・私は彼等を憎んではいません!彼等と和解をしたいのです!
そしてこれからなすべき事は、宦官長ラルクよ!よく聞いて下さい。」
◆
「神官長セツラ様!
そのような事を?本気ですか?」
「私は、本気です!
すぐに市街地へ行き、旅人として訪れている兄レビと接触してください!
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