第25話 「伝説の勇者の器」
パロ王以前の歴代の王達の中には、呪術師の手により操られている事に気付かず、王の意志に反した政策を進めてしまう事があった。パロ王自身、呪術師達を嫌っており、今回の王の夢の解き明かしについては、彼等を排除する為の口実を見つける為でもあったのである。
今回、夢見の一族という、デルタ王国において、300年前の設立の際、大いに国の発展に貢献した一族が現われた事により、パロ王の心は弾み、自身が見た夢が必ず起こる事を確信し、王都議会の刷新と、自らの野望を成功させる為に、夢見の一族セツラの存在を救世主として擁立し、彼女をパロ王に次ぐ権力を与え、パロ王の意のままに政策を進めたい!と考えていた。しかし実際は、この先、パロ王の見立てを遥かに超える偉大な功績を打ち立てる事になるが、その事を知る者は、まだいない。
◆
「パロ王様!セツラ神官長様への襲撃場所が確認できました!そこで呪術師の長サイカを呪術師達100名を集め、呪いの儀式が行われているようであります!」
「セツラ神官長にその事は伝えたか?」
「勿論です!」
「それなら彼等反逆者達への対応は、セツラ神官長と右大臣ペルトリカ、神官府近衛兵団とアベル団長に任せる事にしよう!この程度の策略と陰謀を対処できないようでは、これから対等に彼等と渡り合い、デルタ王国の神官長として国を治める事はできないだろう!」
「パロ王様!なぜそこまでセツラ神官長を高く評価しておられるのですか?
確かにパロ王様の夢を解き明かしができ、未来を見据える優れた預言力がある事は、我ら王の側近である宦官達は、認めている所ではありますが・・最近まで奴隷の身分であり、デルタ王国で暗躍する者達に対応できる程の力があるとは思えないのですが・・」
「右大臣ペルトリカは軍部の最高責任者であり神官府近衛兵団長のアベルは、わが国で最も有能な戦士である。彼の右に出る者はいない。アサシン暗殺卿など蹴散らしてしまうだろう!そしてセツラ神官長は、300年前の夢見の一族父祖アバルは預言書の中で、『伝説の勇者』として選ばれた逸材であると名指しで書かれているのだ!
セツラ神官長は、夢見の不思議な力を有しているだけではなく、呪いの力を受け付けず、悪根の力を打ち砕くだろう!!」
◆
セツラ神官長は、起源の主に祈った
「全知全能なる神よ!どうか!デルタ王国に蔓延する悪しき力、呪いの力を打ち砕き
呪われた言葉は術者に返され、彼等が己の言葉の責任を受け止め、然るべき裁きが下されるように!願わくは、デルタ市街地の全住民がまことに恐るべき対象、創造主なる方を知り、崇める事ができますように!この地を聖別してください!」
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