概要
--それは、魔法
楽器
--それは、魔法を使うためのデバイス
その世界では、楽器を鳴らし音楽を奏でる者を演奏家と言った。
演奏家の奏でる音楽には様々な魔法の効果があった。
偉大な音楽家が貴族が独占していた音楽を解放し、市民も音楽の恩恵を受け始めた時代。
そんな世界の片隅に、楽器は鳴らせるが、魔法の使えない男が一人。
彼の名はアポロ=アレグリア。
そんな彼はある日、運命的な出会いを果たす。
悪魔の楽器を持つ天使と。
彼の停滞していた世界が輝き出す。そして、二人は旅をした。
***
この奇跡が神様の思し召なのだとしたら、俺は、俺の残りの人生をこの人に、この人の音楽に捧げよう。
俺の、俺だけのマエストロ
さあ、私の調律師。私の音楽を完成させてくれ!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!二人が奏でる魔法の音楽セッション!!
最新「第十九楽章」まで読ませていただきました。
一流の音楽家になるためには魔法の素養が必要な世界。主人公のアポロは、楽器を鳴らせるのに人を感動させられるまでには至らず、自他ともに「何か物足りない」。ゆえに、演奏家ではなく調律師として貧しい暮らしをしている。
そこへある日、一流の音楽家である美女・ダリアがやってきた。
ダリアはアポロがセッションをすることで才能を発揮することに気付き、彼にセッションを申し出る。
アポロはダリアが演奏している「悪魔の楽器」・バンドネオンを唯一完璧にメンテナンスできる腕を持っていた。
二人はパートナーとなり、演奏の旅に出る――
アポロとダリアがセッションしているシ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!調律師と音楽家の美しき旅路
音楽が魔法になる世界。物語は、楽器は鳴らせるものの音楽家にはなれなかった青年〈アポロ〉と、『悪魔が発明した楽器』を操る美しき旅の音楽家〈ダリア〉の出会いから始まります。
この出会いが、アポロに自分の持つ本当の力を教え、また一人で旅をしていたダリアの心に新しい光を灯したのではないでしょうか。二人は手を取り合い、共に旅に出ます。
情景が丁寧に描かれており、まるでその場に居合わせたような臨場感を味わうことができます。特に『交響詩 第二番』の街の描写や、音楽(魔法)の描写がとても素敵だと思います。
調律師と音楽家、おそらく重なるべくして重なった二つの旋律が、これからどのような音楽を奏でてくれるの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!音楽×魔法×旅行 ワクワクする綺麗なファンタジー小説
この物語の特徴は、何と言っても音楽と魔法を融合させた面白い設定、そして、ひとりではその真価を発揮できない主人公アポロの存在でしょう。彼の才能を引き出した一級演奏家のダリア。彼女は演奏と魔法の才能に溢れ、美しく小悪魔的。主人公のみならず、読者の心をも離しません。
特筆すべき点は、登場する土地が実在する国をモデルにしている点です。実在する場所を徹底的に調べ尽くして書かれているからこそ、ファンタジーであるのにリアリティが凄まじく、溜息が出るほど美しい街並みが目の前に浮かびます。まるで自分がそこに立っていて、その景色を見ているかのように錯覚するほどです。
旅愁や音楽の生み出す興奮、絶景の美しさ、…続きを読む