第52話 昼の弁当

「そこで護衛の人が」


「お嬢様、この学業に参加するには幾分かお金かかりますけど」


「払っておきましょうか?」


『たぶんその部屋に居たってことは、相当金持ちのお嬢さんだから』


『立て替えておいてください』


 10歳魔法令嬢が、冷静に学費の立て替えを依頼する。



「参加するために当然ね、月にいくらじゃないからね」


「あそこでじゃあ払って参加できました」


「勉強もします、お昼になります」


「また午後からみたいな感じで解散、教室を出る」


『授業はあるの?』


「午後はあるけど、午前中で休憩に入った」


『ああ、休憩ね』


「ご飯を食べて休憩時間は遊んでまた午後の授業を受ける」


「ただ食事はない」


 執事なら多少、食事の配慮はするが、近所の移動の護衛2人はそこまでできない。



『食事ないの?』


『食事がないと、給食がないのでしょう?』


『何もないで昼になっちゃった』


「そもそも食べるところが、できていない」


『ああー、私もっていってないんだ』


『困ったなぁ、我慢するかな』


『夜は帰ったら食べるのだから、だったら我慢する』


 無理に外に行くのではなく、夜の食事まで我慢する選択肢を取った。意外である。



「同年代ぐらいの小学校」


「もしくはそこに細かく区分されてないから中学校とそういう人たちもいるだろう」


「ベースは小学生レベルで」


「子供たちもいるからね、彼らは勉強しているし食事も食べているし」


「自分ぽつりと、護衛は二人いるけど」


『すごいお嬢様だけど、食べるものを持ってないっていうのが』


『話が凄い、かみ合わないよね』


『それぐらいだったら執事がね、弁当箱とか持っててね』


『途中で何か買ってくるとかすればね』


 また矛盾をついて、護衛や執事から食料を物質創造クリエイトする魂胆だろうが、今回はそうはいかない。



「最初から用意していればね」


「一日出るっていうんだったら最初から何か持っていきたいって言えばよかった」


「言わなかったから」


『言わなかったからね』


「すぐ戻るものだと思っていたから」


「でもお金はいくらでも出してもらえるから」


『じゃあコンビニみたいなところで買ってきてって』


「コンビニはない!」


『ない?』


「そんな電気ない」


『ない!? じゃあ我慢する』


『夕食まで我慢する』

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