第53話 帰宅
「男子友達や女子友達みたいの作らない?」
『そりゃ当然作る、友達は作る』
「人以外にも例えばクマの毛がぼうぼうしているような、二足歩行の種族とか」
「ドラゴンみたいな種族とかもいる」
異世界で様々な種族がいることを伝えて、ファンタジーで魔法も使えることを示唆する。
「でも性格みんな良い人だから」
『じゃあ良いのじゃない、一緒に付きあって』
「そこは分け隔てなく?」
『なく』
「肌の色とかも関係なく?」
『嫌いだけど』
『嫌いだけど表には出さない』
やはり戦時を生き抜いてきた祖母。米国や黒人に対して、嫌悪感がまだ残っているようだ。
「じゃまあ4時ぐらいかな、夕方の4時」
「終わりましたと。みなさん勉強で一通りやりました」
「で解散、今日の分、もう終わりました」
「どうしましょう?」
『帰りますね、執事さんと一緒に』
「執事というか、護衛だよね」
『護衛さんが一緒に帰ってくれれば安全だから』
『家に帰って、夕食は当然』「帰る途中、どこかに寄ったりはしない?」
お店に行けば、巻物なり武器なり補助アクセサリーが買える。ちょとよればイベントも起こせて早くゲームクリアできる。
俺はとにかく早く帰りたかった。
『寄りませんね』
「はは、買物もしない?」
『必要ないと思う』
彼女の決意は固い。面倒な事をしない性格もあるが、空腹であるために、早く帰りたいのだろう。
『そんだけ裕福なお家だったら、十分ものはあるし』
『何の不自由もないから、寄って買う必要はないと思うんだよね、だったらまっすぐ』
『帰ってただ、お腹が空いてるから早く夕食にならないかなって』
「そうだよね、昼ぬいているからね」
「晩飯は多分、6時7時だよね」
『決まり通りに夕食の時間まで待って』
「ちなみに、喉が渇いていた場合は?」
『それはあの、一階の水飲み場があるのを知っているからそこで』
「じゃあ帰ってきました。門入りました」
「護衛は別れました、まあフリー行動ですね」
「何もすることないから」
「一応まだのど渇いている状態ね」
『のど渇いていたら、まず水分は取らなきゃいけないから』
「下行って、水を飲んで」
『できれば入れ物があれば自分の部屋に持って来てね』
『ペットボトルみたいなのがあれば』
「ペットボトルはない、瓶だな」
『瓶でも何でもよいから』
『入れるものがあればそれ一本持って帰ったら、一晩は何とかなるから』
「いつでも飲めるからね」
とにかく部屋から出たくない。飲み物も食事も室内で済ませて、動かないつもりだ。
これではまずい。何とか彼女を外に出して、イベントを進めなければこのゲームは終わらないのだ。
86歳の設定破壊祖母(ルールブレイカー)は異世界転生で孫を困らせる ~TRPGさせたら所帯もって帰らなかった件~ すきづきん @sukidukinn
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