第49話 2人の護衛と令嬢
『行ってきます、学校行ってきます』
「あーダメですお嬢様、護衛なしで外に出るのは許されていませんので」
『護衛、呼んでください』
『何が何でも行く』
早口で語る。彼女の決意は固い。
「じゃあまあ護衛の人、ちょっと呼んで」
「まあちょっと5分ぐらいかな、着ましたと」
「そこから門を開けてもらって」
「二人かな、サイドで」
「ちゃんと、こう武器とか」
『へぇー』
「襲われても大丈夫だよ」
『すごい! 』
「厳重、じゃあ外に出ました」
「道路があって当然ね、お城みたいなデカいのがあります」
「で当然民家もある、ものを売っている所もある」
魔法を強化したり活用できる便利アイテムを広場で売っている設定なので、クリアしてもらうために誘う。
こうでもしないと、2日ではTRPGのゲームクリアはできない。
「手持ちは服装豪華だけど」
「まあ機械仕掛けの時計ぐらいかな」
「ちょっとした時刻がわかるようなアイテムとか」
「そもそも、金貨銀貨とか持つ必要ないから」
『必要ないよね、食べさせてもらって、着させてもらって、寝させてもらっているから』
『そんなね、要らないよね』
「手持ちはもうアクセサリーくらいで」
『とにかく、学校へ行く』
「では中央の広場に……」
『広場は寄らない、寄り道しない』
広場や市場には興味がない。真っ先に学校に行きたいようだ。
「学校の場所はおそらく、護衛の人もわかっているだろうから」
『当然一緒に学校まで』
「その場合、どういう声かけをして?」
「両方の男性の、普通に強そう」
せっかくだし、イケメンで優秀な護衛って設定にしよう。
護衛との恋、TRPGならそういった恋愛の選択も悪くない。
コミカライズやアニメ化を考えているなら、周囲は女性が好みそうなキャラを序盤に用意するのは鉄則だ。
『私寄り道しませんから、まっすぐ連れて行ってくださいって、はっきりと言います』
「どこにですか?」
魔導学校って言って! でないと普通の学校じゃ魔法を教えられない!
『学校』
「学校?」
「ああ、魔術学校ですね?」
『魔術学校じゃないです(即答)』
「え?」
素で声が漏れる。
『普通の学校です』
二人は硬直し、沈黙の時が数秒流れる。
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