第7話 身分証明
「一応、泊めてくれたおじさんとか子供たちに会うことはできるけど、どうする?」
『そこに、住まわせてもらう』
『だって逃げようないもの』
『大都会まで入れてくれないんだから入らない』
『戻ってそこの小さな村でもいいから、そこで農業しろって言うならやるし』
このままヤクモ村で永住されては物語が進まない。なんとか打開策を提示する。
「なんか自分のカードを探しているとか」
「打開策を考えたりしない? 身分証明を出してくれるようなとこがないと」
『身分証明を出してくれるようなとこがないと』
『そういう証明は私されるような人間じゃないじゃん』
『とんでもないところから降りてんだから、何もないんだから証明しようがないからまあ』
ラピュタのシータの登場シーンを思い出した。空から女の子が!!
『今親切にしていただいたところ、でお世話になる』
『何コレ逃げ方。逃げるしかないここに』
「現実的には・・・うん」
「ただ言ってしまえば、今の時代のマイナンバーと違ってだいぶザルだから」
「自分の手で作るのは難しいけど、ただ顔写真とかないから」
『そうだよね』
「そうそうそう」
「その場合、基本ずっと村に居続けるか、なにか打開策的な」
『本当は行きたいのよね』
『行きたいけども行けなかったらしょうがないと諦めて』
『もう検問所を所を通れる方法が私見当たらない』
『身分証明、自分で作るわけにもいかないんでね』
「自分ではどうしても作れない」
『わけを言っても聞いてももらえない』
『通りようがない、回ってもいけないと』
「もう行き詰まるしかないじゃん。ですから戻って親切な方にお世話になるんです」
「なるほどね、でもそこだったらもう夢であるとしても、ばあちゃんだったらその行動をとると」
『空飛ぶことできないし』
魔法使えば何とかできるかも。
『守ることもできない。どうしても通れないとなったら』
『一度そこに戻って考え、そういうとこ行きたかったんだけどこうだったんですって話して』
『無理ですって言われたら、お世話になりますわって』
86歳の祖母はスマホゲーはもちろん、スーファミDSプレステすら触ったことがない「ゲーム知らない世代」だ。
仕方ないので、救済案を異世界側から出す。
「泊めてくれたおじさんたちの噂話に、王都に行くには当然カードは入るんだけどね」
「ある程度近い年齢とか名前の人が亡くなったときに、そのカードを使って入ったりすることができるみたいで」
『しない』
「しない!? しないの!?」
即答!?
『そんな人のものを自分のものにはしない』
「マジで、すげー」
「そこは信念がある?」
『人のものは、その人に私になるってことは、しない』
「難しいな、そうなると」
「入る手段がないからね」
『なにもないけど』
『誰かのね、死んだ人のを私のです嘘ついて、通るのはやだ』
これじゃあ、死人から奪う、誰かから借りて偽装はどれもダメそうだ。最後の手段を使うか。
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