第8話 宿泊
「なるほどね。でもどうしても行きたいんだったら」
「うちは何か荷物、馬車のとかで王都のところで納品するところがあるんだけど」
「そこにはちょっと紛れて入れば、まあザルだから通れるよ」
偽装の嘘は使わず、入る選択を考えて捻りだした。これなら拒否れまい。
『それだったら入る!』
『まぎれて入れるんだったら嘘つかない、ついてないじゃん。ただ隠れてるだけ』
嘘はダメで、隠れるのはOKなのか。判断基準が面白い。
「村の運ぶ人の、1人のワーカーというか荷下ろしする人っていう状況であれば」
『入れてくれるならそれに乗せてもらって』
「もちろん村人の主導する人は証明するんだけど、その従者については身を明かさなくても通れます」
「それをやるためには3日後だから、どうする?」
『3日お世話になる。私そこでお手伝いして、何でもします』
今、何でもするって言ったよね?
「やれることはやる」
「ちなみになんかやれそうなことは?」
『何でもできるね、農家だったら』
「今まで持っている記憶とか経験の中で、役に立てそうな技術とか知識とか」
『まあの、ようす・・縫物? 洋裁、和裁、編み物、料理、美容師・・・』
『運転』
「運転!? 運転はないな、車ないから」
『あ、そうか。ないわ』
「文明が牛車レベルだから」
『牛の世話もできます』
「あ、そうなの。けっこうできる?」
『あたし結構べこ、牛のこどもいるじゃん』
『あれね、家の庭の裏手に出ると遊んでたもんね、それなでてたけど』
『あの大きいはダメ!』
「ああそうなの?」
『ツノ振るから』
「ちっちゃいやつ?」
べこって…。吉幾三の、べこ飼うだぁぇ♪ を思い出した。
普段聞かない言葉だ。広島で実際に飼っていたからこそ、自然と出てくるのだろう。
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