第14話 生きるために、稼ぐために

「じゃあその時に銅貨10枚ね」


 一応お駄賃を渡すことは考えていたが、普通の農家なら百円程度であるが、それでは稼ぐ時間が別に必要になる。

 1時間予定だったが、すでに超過しているため少し多めに渡すように調整する。


「ちょっと仕事ね、奉公した分だからこれ持ってていいよ」


「ちょっとサービスでね。銅貨10枚だと、だいたい1000円くらい」


 受け取った銅貨が、どれだけの価値=日本円なのかを売ってる値札から予測してもらうことを考えていたが、それでは難易度が高すぎる。

 最初から日本価値感覚が分かるように、銅貨を日本円に変換して話す。


「1000円くらいの、おだちんをちょっと貰いました」


「そこでじゃあ別れました。どうしましょう?」


『もうそこから先、行く気はないからそこで、住む』


「住む? でも所持金が今は1000円くらいしかないけど」


『1000円ぐらいしかなかったら、どこか泊まって旅館とかお店とか何かがある』


『何かで私ができることだったら、そこで働いてそこに永住する』


「何をじゃあ生かすか」


「今までの経験知識を使えるから、何をするか?」


『昔を思えば美容師なんて要らなかったから』


「美容師、なるほどなるほど」


『もし現代に近かったら』


「当然、髪が伸びている人がいるから」


「普通の人だけじゃなくてちょっとゴツかったりとか」


「皮膚が岩みたいだったりとかちょっとか、ちょっと顔が竜だったりとか」


「こういう特殊な民族も混ざってる。明らかに普通の人じゃない人混ざってるから」


 中世ヨーロッパ世界なので、異民族(エルフオークゴブリン)もいる。

 ただそれらの洋風種族は恐らく祖母には伝わらないので、顔が竜のドラゴノイド、岩がゴツゴツのゴーレム系を和風でもわかるように伝えた。


「ただ当然毛が生えてる剛毛な人いるから」


『一番、金になりそうなのは美容師だね』


『自分の着物を縫ったり編んだり』


『そんなんじゃ金にならないから。一番食堂をやってたのね、うちの母が』


『だから食堂をやってて、カウンターの中で接待するような』


『でもそれでその時代にそんなものがあったかどうかでそのね、お母さんの時代で』


「あとは初期投資もいるからね場所とかもあるし」


「今所持金がほとんどない状態だから」


『美容院を探して、そこで働く』


「美容院自体がそもそもないから」


「自分で切るなり何なりしてて、ではどうするか?」

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