第15話 切れるナイフを探して
『どこか働くところ、探すね』
『金に、金が欲しいからね』
『何で金が欲しいかって言ったら、ただまあ食べられりゃいいんだから』
『最後は食べられれば良いのだから、金はなくてもどこかで何かをして』
『食べさせてもらう所を、探すね』
「散髪自体もお店が出ているわけじゃなくて、各自でやっているレベルだから」
「需要はありそう」
『でも金があっても、お店がなかったら買えない』
「別に露店で何しても文句言われる時代じゃないかね、その時はね」
「露店開いて、散髪とか」
「今持ってるのは石で作られた全然切れないやつ」
『切れないじゃ、なんとかなればいい』
「木を削ったりするくらいで、チョキンチョキン出来るかと言われたら…」
『無理だね』
「でも少なくとも、それを探すことはできるね」
「銅貨10枚で1000円くらいしかないよ。その状態でどこへ行きますか?」
『探す。はさみか包丁か』
「髪を切るためのものを探して、それをを買う」
「ただぱっと見、地図はない」
「地図案内みたいな、律儀なモノなんてない」
「ただ人は歩いている」
『聞く』
「じゃあどんな人に聞いてみるか」
『誰でも良い』
『話しかけて返事してくれれば誰でもいい』
「誰でもいい。人型もいるしちょっとなんかモンスターみたいな人もいるけど」
『そんなの誰でも話しできる』
種族に関係なく、誰にでも声をかけることができるようだ。
「その場合、なんて声かけるか」
『すみません、私こういうモノを、切れるものを探してるんですけどご存じないですか?』
「ああ、じゃああっちの左の奥の方へ行って、ちょっとぐらい歩くと武器屋あるよ」
「そこに刃物、剣とか売ってるから」
『買う』
「ちょっと行ってみると」
「じゃあその中で、刃物」
「高級の切れ味のいいものやっぱり3000円とか1万円とかするけど」
「まあちょっとちっちゃめの小型のナイフとかだったらまあ800円くらい」
数日稼いだお金がほとんど吹き飛ぶような価格設定にする。値下げ交渉や他の店を探すといった選択肢がある。
「銅貨8枚ぐらいで売っちゃるよ」
『それで売ってもらう』
「なるほどじゃあ買いますと。おおすごい」
『何とかしないとしょうがないから』
「今は銅貨残り2枚、要は200円くらいしかない」
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