第19話 所持金0から生きるために
「目的はね、一応ゴールはある」
『まあそこで金貯める』
「じゃさっきの100円でただ切る」
「そうするとどうしても、なんか100円が200円300円になったら受けてくれなくて」
「高くふっかけちゃうとどうしてもね」
「いやそれだけだったらやっぱいらないし」
100円カットなら客はいるが、300円でカットだけでは高くて来てくれない。
もちろん、お店もお金も一切持っていない。
ならばどのようにして多く稼いで打破するか、技量と知識が問われる。
「どうしても切るだけだからね。だからやり方としては、じゃあどうするか」
「単価を上げたりするのか、それともお客さんを絞るのか」
「場合によってはちょっと追加で機材を買ってみるとか」
「今一応1人目のお客さん終わったあと、もう所持金ゼロだけど」
「その状況だったらどうする?」
『お店そのものがその辺にないのでしょう?』
『美容院たるものがあれば』
「ただ美容院自体がそもそも認知されてないから」
「ただ需要あるよね」
「お店のどこかに取り繕ってもらえるかどうかってのどこか探せれば」
『軒先でもどこでもよい』
「どこ交渉できそうなお店、あれば」
「どういうところを探すか、お店の中でこれは相性よさそうだっていう」
『まあどっちかというときっと女の人が』
『男の人は我慢できると思う』
『洋服屋があるなら、着物屋でも』
「ちょっと場所を貸してほしいと」
美容院を始めるなら、まず女性が集まる着物屋のそばを借りる。とても合理的な判断だ。
「普通に1日例えば、500円分、銅貨でいったら5枚収めてくれるんだったら」
「ここ使って良いよ、みたいな」
『それのお客さんの土地で、借金にして』
『すみませんあの、やったら返しますから。まず、貸してください』
「なるほど」
その日の土地代がないなら、地主に頭を下げて借りる。
貰った1000円は貯蓄せず、ナイフと食事で全部消えてしまったからだ。
それでも迷わず前に進む彼女を見て、正直カッコ良いと思った。
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