第45話 体を拭いてもらう
「そもそも執事たちがやってくれてるから、一式」
「あの着替えとかもあるし、ただお風呂とかはないかな」
『それはね、水があるとこでタオル。タオルはある?』
「タオルはある」
「自分でやってもいいし」
「あとは場合によっては女性の執事の方にやってもらうのかもしれない」
『それはないと思う。自分でやる』
え、即答?
「自分で? じゃあもし仮に」
「ちょっとお体、洗いましょうかってコンコン……」
『いやいいですって自分で言ってタオルを持ってきてって』
『本当はね、タオルを持ってきてね、どうぞお拭きくださいってのがいちばん最高なんだけど』
『それがないとしたら自分で、セルフサービスで』
「ああ……セルフサービス……」
ホテルか何かか?
『自分の部屋帰って、拭く』
令嬢らしく執事や雑用に体を拭かせるという王族プレイは、好まないようだ
「若干恥ずかしさもあるの?」
『あるある、すごいある』
『あの、ない人もいるのだよ』
『現実には古い、こんなしてて』
『全部洗ってもらって表も洗ってもらわなきゃ』
『全部拭いて洗って、頭の先で全部洗ってもらって』
『それを今の現実の話、それでお股も洗ってくれて』
『全部拭いてくれて、それでパンツまで履かせる』
『よくあなた、それ我慢できるねって、現実!』
どうやら、何もかもヘルパーにお願いしてやってもらっている知人がいて、そこまで委ねるのは信じられないそうだ。
『今、ちょっと離れた話になったけど』
「何歳それ?」
『91、2歳』
『いや信じられない!』
『そんなね、週に1回、1回は自分で洗う』
『このまんまで椅子があるそこに座っていたら全部』
『お風呂は入れてくれるけど』
『まさかお股洗ってもらって、パンツまで履かせてもらってとは思わなかったから』
パンツがそんなに大切なのか……。まあ91歳までくると、体は上手く動かないだろう。難しい話である。
『現実いるんだよ、そういうおばあさん信じられない。なーんもしない』
『まだあの人支援かなぁ、介護かもしれない』
『そういう人、ウチのお母さんもそれもそれそれ系じゃないかな』
うちのお母さんというのは祖母の母であり、現在広島で108歳以上で元気に生活しているとのこと。
『その人は自分の家に来てくれるヘルパーさん』
『まあ現実離れたけどちゃんと自分でタオルして』
『すごく頑張って拭く』
北斗の拳のシンのように、好き放題拭かせても、美執事に囲まれても文句が言われない令嬢である。
しかし、意地でも自分以外が体を拭くという行為は受け入れられないようだ。
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