第41話 記憶

「じゃあそこで偶然、執事の人がね」


「ちょっとそこにいてなんかちょっと仕事色々してるの見かけて」


「お嬢さん何かご用ですか? 1階まで、降りていらっしゃいますけど」


『別に要はないんだけど』


『この記憶がないので確認しに、降りました』


「っていうの?」


『言う』


『だって記憶にない。私はないんですけど』


『この1階の出たところがどんなところなのか』


『確認に降りましたって』


『一度じゃない、二度までもお世話になっているから』


『それくらいなら、心の中を話す』


「じゃあそれを聞いたら」


「お嬢さま、記憶無くされたのですか?」


『ふふふ、記憶無くされた……』


「御冗談ですか?」


『そう執事が言ったとする』


『どうもそうらしいです』


『記憶にないんですが』


『気がついたら、ここにいたんです』


『だからちょっと今確認に降りて、色々と調べてるんですって』


『ちょっと記憶が定かではないんですって、はっきり言う』


『だって記憶定かではない。わからないんだわ』


『そこ知ってて入ってたのなら』


『回りがなんだか全然わからないけど、こんな良いところだったんだと思って喜ぶわ、そりゃ』


「そうなったら素直にわからないって答えたのだったら」


「今時間的にはもう夕方だから」


「この後、夕方にまたお食事をお持ちますので」


「そろそろ戻られたら、いかがですか?」


『戻ります、戻ります』


 戻るんかい! ちょっと外を出てほしかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る