第23話 相性

「ちなみに、体の相性とかもあるよね。それはだいたいどれくらいから許す?」


『まず許さない』


「許さない!?」


「半年でも? 結婚まで?」


『結婚式まで』


『そこで体が合わなかったらお別れ』


 今の若者なら、結婚前に相性を確かめてから結婚するのが普通だと思っている。

 貞操を守る時代は、いつからなくなったのか、正直世代別に聞いてみたい。


「例えばお互いじゃあ相思相愛でした。ただ体の相性は実は絶望的に悪かったら」


『それ別れる。ごめんなさい、合いません』


『この人とずっと一緒にいて、子どもを産む気はありません』


「そういえば、婚約した後?」


『結婚するまでは関係をもたないから』


「してから、ちょっと何か全然合わないんで、それで別れる」


 これを聞いて、ものすごいジェネレーションギャップを感じた。

 結婚式で籍を持つのは人生で大きなイベントであるため、しっかり心と体の相性を確かめ、一緒に歩めるとお互いに知ってから結婚すると思っていた。

 後から相性悪いでした、結婚後別れましょうは自分にとって衝撃だった。

 いや、逆に今の性思想がおかしくて、五十年前ひとむかしまえはソレが普通だったのではないか? 疑心暗鬼になる。



「今ちょっといた世界は、当然竜とか」


「普通の人じゃない種族もあるから、それでどうしても子供を作れないからね」


「全然違うから。もうそもそもダメと」


『子供でも作らなくても別に良い。その人とあわなかったらダメ』


「考え方とかあっているけど、種族的にダメ」


「子供作れなかったらどうするか?」


 異世界転生でよくある、種族間の交配の壁である。異種間交流で相思相愛になっても、子供は遺伝子的に作ることは不可能になる。


『子供でも作らなくても別に良い。関係が、その人とあわなかったらダメ』


「考え方とかあっているけど、種族的にダメ」


「子供作れなかったらどうするか?」


『好きだったら良い』


「それは子供作れないってお互いわかっていた上で、結婚するのはアリ?」


『あり。体があったらね』


『ずーっと二人っきりで暮らす』


「わぁー、すごいロマンチックだなぁ何か」


 繁栄とか、快楽とか、財産ではなく、二人の心と体の相性を最優先する行動に、感心した。

 異世界ハーレム好きの自分としては、あまりにも純真で芯があり、尊敬する存在となった。

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