第3話 設定破壊(ルールブレイカー)

「壁とかで覆われているところに来て、ちょうど中の工業で何かやってるであろう煙が見えてきましたと」


 ここが王都であることがわかるように、説明した。祖母に説明した。


「人が結構いそうだなと、じゃあどうします?」


『でもそこで働こうと思わないから、次の目的地行くから』


『そこでひょっとしたらこれ、まっすぐ行ったらあそこへ着くんですよねって聞いて』


『そこでは何もせずに通り通り抜ける』


「通り通り抜ける!?」


 ええ? 長い壁に囲まれた王都っぽいのに、素通りだと!?


「じゃあいったいどこに?」


『次の村があるんでしょ? その先に』


「その手前にこんな工場があるのでしょう」


『そう・・・』


 自分の設定上はここを王都としてゲームを進めていたが、どうやら祖母は「工場(こうば)」であり、王都はまだ先だと思っている。

 仕方ないので、言われた通り工場という集落に設定変更(ルールブレイク)する。

 山→団子屋→王都、から山→団子屋→工場の集落(新規作成)→王都に変更することにした。


『だからその工場で用事はないから』


『もうちょっと集落みたいなところあるでしょう?』


「あります」 (今移動させました)


「じゃあ今、5キロ先のそこそこをお目当てに」


『まだ途中よ。そんなところに寄っても何にもならない』


「じゃあもでっかい、なんというかお城というか」


「普通に活気のあるようなでかいところまでは、とりあえず進んでいくと」


『そうそうそう』


「またさらに5キロ以上歩くよと」


『待って! そのあと5キロも歩くの?』


「1個目の村は5キロ先だけど、もう一個さらに先に行かないと、でかいとこないよと」


「それでもまだ歩く?」


『いや5キロ歩いたあと5キロ無理です、無理だわ』


『どっかで、すいません今夜泊めて頂けませんか?』


「ただ時間的にまだ明るいからね」


『明るくてもその後5キロはちょっと無理。歩けない』


『いくらふわふわしててもいくらでも歩ける人間?』


「まあ全盛期だからね」


『それにしても精神的に無理。そこでちょっと、やすませてもらう』


「なるほど。そこのちょっとした集落みたいな所に、1回入りました」


 いくら若くて元気でも、無茶はしない。

 自分なら異世界魔法とか使って一気に目的地に行こうとするが、彼女は冷静だ。

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