12.無雲、さじを投げられる

 K君と付き合い始めてちょっとして、私はこの世の子供にやたらと敵意を向けるようになった。原因としては、仲の良かった姉が子供の事で手いっぱいで私に構ってくれる時間が少なくなっていったからなのかな? とも考えられるし、そうではなくただ単に何かしらの妄想が私の頭の中で働いていてそれにの子供を巻き込んだだけだとも考えられる。


 ただ言える事は、当時の私は道行く子供を殴ってしまいそうだ、とか何かしら危害を加えてしまうんじゃないか、という観念に苦しめられていたという事だ。


 その話をT先生の診察で何度かしたある日の事だった。それは唐突だった。


「僕にはもう無雲さんは手に負えません。専門病院に入院してください」


 要は「無雲、さじを投げられた」のである。


 大学病院だから専門的な治療が出来る……とは限らないのが精神科なのだ。大学病院でもA病院には精神科専門病棟が無かった。過去二回の入院も一般病棟で一般患者と同じ部屋での事だった。


 専門病院……。


 ここでB病院(単科精神科病院)に行くと思ったでしょう。


 違うのです。


 実はここに後の職場となる「でっかい病院」が絡んでくるのです。そこは絶望病院でした。次はそのエピソードを書きたいと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る