そして回復へ

現在の主治医、M先生

34.M先生との出会い

 痙攣が治まらず、父がB病院の職員を怒鳴りつけて半ば強引にB病院に運び込まれた無雲。そこで私を出迎えてくれたのは、私がとして避けていたM先生だった。


 M先生との出会いは、この時ではない。出会いはかなり前、不穏が酷くて代診で対応してくれたのがM先生だった。


 M先生は、入院仲間の間で評判が悪かった。何故なら、厳しい事をずばっと言ってのけるからだ。「冷たい」「酷い」こんな評判を聞いていた。


 代診で対応してもらった時も、M先生はぶっきらぼうに私に鎮静剤を注射すると「ふんっ」って感じで突き返した。


 だから、私はM先生が嫌いだった。


 痙攣が治まらなかったこの時、対応してくれるのがM先生だと知って不安になったが、「死ぬかもしれない」という恐怖の方が強くて、「誰でもいいから助けて!」という気持ちが勝っていた。


 この時対応したM先生は、いつもより柔らかく見えた。私の様子を観察して、「今まで飲んでいた薬の蓄積からの痙攣だ」と診断し、ある筋肉注射用の薬剤を静脈注射で直接流し込んだ。


 すると、あんなに何時間も止まらなかった痙攣が治まった。


 両親も私もびっくりした。そのまま入院になるかと思いきや、私は帰宅していいと言われた。また何かあったら来てもいいと言われて、かなり安心したのを覚えている。


 そして次の日の朝、再び私は痙攣を起こした。土曜日の朝だったと覚えている。


 M先生は「僕は明日も居るから」と言っていた。だから、また痙攣を止めてもらうためにタクシーで病院に急いだ。


 その朝、M先生は痙攣しながら待合にいる私を見て、「うわぁ! 大変なのが来た!」と、笑って見せた。でも、その笑みは嫌なものではなく、親しみのある笑みだった。


 この時も、M先生は薬を静脈注射で流すと言った。

 私はこの時、泣きながら疑問をぶつけた。


「これからは、誰が私を診てくれるんですか?」


 私は、Y院長は私の痙攣を診る気が無いのを知っていた。それと、このままY院長の世話になっていたら殺される、と思っていた。だから、誰が私を診てくれるのか分からなくて不安でそれが知りたかった。そしてM先生はこう言った。


「それはあなたが決めなさい」


 私はとっさに判断してこう言った。


「じゃぁ、M先生が診てください」


 これが、私の人生のターニングポイントになった。

 ここから、M先生の治療が始まる。

 そして、私は人生を取り戻していく。


 次回は、M先生がまず最初にしたお薬大改革と持効性注射剤についてです!!

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