47.回復期の問題行動について

 回復期に入り、遊んだり就労したりしていた私ですが、実際には順調な事ばかりではありませんでした。この回では、回復期における問題行動についてお話したいと思います。


 離脱症状が終わって退院した後、毎日遊び惚けていた私ですが、たびたび「うぎゃぁぁぁ!!!」となって発狂状態になる事がありました。

 それは、『精神運動興奮』の一種だったらしいのですが、この『精神運動興奮』って何だか難しい単語ですよね。なのでまずそれを解説しようと思います。


 『精神運動興奮』っていうのは、凄く端的に言うと、『特に意味がないのに精神が乱れて興奮状態になる事』を指すみたいです。明記されているサイトが少ないので、色んなところを参照して自分なりにまとめてみました。

 で、私の場合は、普通に生活してていきなり「うぎゃぁぁぁ!!!!!!」と叫んでジタバタ騒いでいたんです。もうこうなると両親もお手上げ状態。叫ぶ私を父の車なりタクシーなりに乗せてB病院へGO! すると、M先生が猛獣をも倒す筋肉注射一発ですぐ鎮静化させてくれるのです。


 いつもM先生が居るわけではないですから、私のカルテにはでかでかと『精神興奮運動時オ〇ンザピン筋注』と書かれ、何度も色々な先生に筋注で鎮静されました。


 この発狂状態になると、私は医者に対して凄く敵意をむき出しにして、相手を猛烈に罵倒してしまっていたんですよ。「近寄るなこのヤブ医者ぁぁぁ!!!」みたいに。そうするとですね、病棟から屈強な男性看護師が呼ばれて、私を羽交い絞めしてくるんですよ。そりゃもう、閉鎖病棟の男性看護師は羽交い絞めが上手。私は身動きをとれなくされてその間に筋注をされるわけです。


 そのオ〇ンザピン筋注をされると、すぐに鎮静化されるんです。で、素に戻って恥ずかしくなって相手に謝る……みたいな流れ。


 M先生はいつも笑って「医者なんて罵倒されるために居るから大丈夫」と言ってくれていましたが、他の先生からは閉鎖病棟への入院を強く勧められたりしていました。しなかったけど。父も「入院なんぞさせねぇわ!」と言ってくれていたし、私も閉鎖は嫌なので(笑)。


 この症状は三カ月~半年くらい続きました。ほんっと、厄介だった。


 回復期の問題行動はこれだけではありませんでした。これより厄介だったのがOD(薬の過剰摂取)です。


 父と大喧嘩してイライラして寝れなくて、処方薬を百八十錠飲んで三日間意識不明になったこともありました。きっかけは忘れたけど、処方薬をシート単位で飲んでしまう事もありました。


 これ、一歩間違えたら死んじゃってます。自殺行為です。

 私の中では『自殺未遂』ではなく、「おやじにイライラして寝れなかったから薬飲んだだけ」だったのですが、警察は来るわ入院費は十割自腹だわ、ろくなことがありませんでした。M先生は「僕の処方した薬では死なないけど、あんまODばっかしてると心臓弱って死んじゃうかもよ~?」と言ってましたね。

 

 このODは、三回くらいしてあとはなんとか落ち着きましたです、はい。

 無雲、内臓がすごく強いらしくて、三日間意識不明の時でも後遺症は残らずピンピンしていたのですが、ODなんて絶対しちゃダメ。下手したら死んじゃうし、下手しなくても後遺症残って苦しむレベルですからぁ!


 というこの二点が回復期の問題行動の一番大きい出来事でした。

 この他にも、おやじと喧嘩して家出しちゃったりとかした気がします。カーっとなってる時の記憶って、びっくりするほど薄れちゃうからうろ覚えなんですよ。まぁ、都合の悪い事は忘れたいって言う防衛反応だと思いますけどね(笑)。


 このように、回復期も平和一本ではいかなかったのです。本当に、いつになったら両親は心の平安を取り戻せるのかって感じでした。

 でも、それでも、私は二度と多剤状態に戻りたくなかったです。頭がはっきりしているという状態は、本当に素晴らしい状態なのです。


 次回、いよいよ最終回です。

 ここまでお付き合い下さり、ありがとうございました! 最終回も、突っ走ります!


 


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